第35話 宿屋の女将さんとの再会
窓から差し込む光が瞼を刺激する。
顔をしかめながら、少しずつ目を開けた。
もう少し眠りたい気持ちを抑え、身体を起こした。
立ち上がり両手を挙げて伸びをした後、
『よしっ!!』
と気合いを入れた。
3人が起きるまで日課の素振りをするため、さっそく行動を開始する。
道具袋を下衣にくくりつけると、銅の剣を手に取り部屋を後にした。
受け付けの前を通ると…
『あら?アンタはたしか…』
『ご婦人、おはようございます。カマラさんはまだ泊まっていますか?』
『やっぱりあの時の子だね。カマラはもういないよ。アンタ達が来て少し経ったころ、違う町に行くってね。急だったから驚いたけど、冒険者が町を移るのは珍しいことでもないから。』
『そうですか…また話したかったですが残念です』
『アンタも冒険に出たんだろ?だったらそのうちどっかの町か村で会えるかもしれないよ?』
『そうですね』
『そうだよ。会ったらたまには顔出すよう言っておいておくれよ』
『わかりました。あ、そうだ!ご婦人に聞きたいことがあるのですが、昨日泊まった部屋にツボがありまして、そのツボの中に薬草があったのですが…あれは前の方の忘れ物でしょうか?』
『あぁ、そうだね。冒険者はよく道具やゴールドなんかを忘れていくのよ。それを見つけた人がもらっていって構わないからね。その薬草はアンタが使いな』
『そうだったのですね。では有り難く使わせてもらいます』
『そうしな』
『じゃあちょっと外に出て稽古してきます』
『へぇ。朝から稽古とはご苦労なことだねぇ。まぁ、頑張んな』
『はい!』
カリスは宿屋の外に出ると、店の裏側に回った。
そして、銅の剣を鞘から抜き素振りを始めた。
いつも通りの回数をこなし一息つくと、
『終わったか?』
『スケリド?見てたの?』
『ああ。毎日やってるのか?』
『そうだね。稽古してると少しずつだけどステータスも上がるんだ』
『本当にステータスが上がるのか…?』
『うん。毎日やっていても本当に少しずつだけどね』
『そうか…』
『じゃあ、そろそろ朝食時だし、他の2人も起きてくるから行こうか』
『そ、そうだな。そうしよう』
2人で宿屋の中に入ると、
すでに2人は受け付けの前で待っていた。
『2人ともおかえり〜』
『おはようございます』
『ただいま…と言っても店の裏側にいたけどね。エマもおはよう』
『知ってたわ。窓から見えたもの〜』
『え!?そうなの?』
『私も窓から見ちゃいました。ふんっふんって聞こえたからなんだろう?って気になって…』
『そ、そうだったんだね…』
は、恥ずかしい。
明日からはもう少し離れた場所でやろうかな。
『さ、それじゃあ行きましょうか〜』
『北の洞窟へ向かうのか?』
『ん〜、カリスはどうするのが良いと思うの〜?』
『僕はまずレベル上げと装備を整える必要があると思う。北の洞窟の討伐推奨レベルは10レベルだから、最低でも全員10レベルにはしておきたい。なので、まずはカンブリア帝国周辺のモンスターを狩ってレベル上げをしてはどうだろうか?』
『そうねぇ。すぐに全滅したんじゃ話にならないものね〜。アタシは賛成よ〜』
『私もレベル上げたいので賛成です』
『俺も異論はない』
『そうと決まればさっそく行きましょ〜』
『『『おう!』』』
4人はカンブリア帝国入り口に向かい、
町の外へと出ていった。
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