勇者だからって魔王軍討伐に駆り出されるのはどうかと思う。。。

ジンメイ

第1話 王様達の会話

この世界は3つの大陸に分かれ、7つの国がある。

7つの国にはそれぞれの思惑、思想があり、常に争ってきた。

時に戦争に発展するが、どこかの国が戦争に勝つということは、領土が大きくなり、他の国と比べて頭一つ抜きん出た国となる。

そうはさせまいと、戦争当事者の国以外の国が介入し、有利だった国は不利へと変わる。

そんな状態が数百年も続き、7つの国全てがほぼ拮抗した国力、国土を保っている。

しかし、全ての資源を平等に分け与えている今の状況は、どこの国も飢えている状況ともいえる。

食糧こそ困窮してはいないが、どの国の国民も皆、希望のない、ただ繰り返される毎日を過ごしている。


そんな中、1人の国王がある秘策を思いつく。


それは、、、



〜カンブリア帝国会議室〜


王様A『世界各国の王達よ。今日は集まってくれてありがとう。』


王様B『これだけのメンツが一同に集まるなんて初めてのことだな。一体何が始まるんだ?』


王様C『他の王達は知らんが、儂は忙しいんじゃ。さっさと始めてくれんか?』


王様D『、、、』


王様E『はっ!!C国はどっかの国に攻め込まれてる真っ最中だもんな?そりゃ呑気に話してる場合じゃねーよなーw』


王様C『黙らんか。貴様の物言いは品性の欠片もないから不愉快じゃ』


王様E『あー?なんか言ったかジジイ?』


王様F『話が始まらないので、くだらない言い争いはやめませんか?』


魔王『、、、』


王様A『集まってもらったのは他でもない。今後の世界経済についてだ。私から皆に提案がある』


王様C『何かと思えば経済じゃと?くだらぬ話ならただではおかぬぞ?』


王様E『ジジイには腹立つが、オレもこのジジイと同意見だ。こんな所まで遥々呼ばれて来たんだ。それ相応の話じゃなければオレも許さねぇ』


王様A『うむ。私の考えはこうだ。これまで自国を豊かにするために、自国の領土を広げようと他国に戦争をしかけ、血で血を洗う日々を長年続けてきた。全ての国の平和、安定をもたらすには自国が全ての国を統一すべきだと思い、統一に向けて国を強くしてきた。だが、統一するまでに一体どれだけの血が必要なのだ?途方もない罪悪感を背負わなければいけないのではないか?正直私はもう戦争はウンザリだ。そこで私は全ての国が飢えることないよう、全ての国の生産性を高める方法を考えた。だが、それぞれの国の土地では、それぞれの事情があり、常に飢える事がなく栄えるのは難しい。そこで少し考えを変えた。世界共通の敵、魔王を作ってはどうか?魔王を倒す為に冒険者を募集し、その冒険者たちをあれこれ理由をつけて各国隈無く移動させる、そうすることにより経済を回すことができるのではと。協力してくれる魔王よ、少し自己紹介してもらえるだろうか?』


魔王『おう。俺様を初めて見る王も多いだろうが、俺様が魔族の王アノマーロンだ。ここにいる奴らは、魔族と魔物の違いもよくわかんねーだろ?まずはそこから話し始めるか。

そもそも魔物とは、魔族が生み出したものだ。魔王の俺様はもちろん魔族で、俺様は人間が生み出したものだ。正確には人間の邪気によって生み出されたんだ。例えば、俺様が殺されたとする。俺様が殺されたその場所は数十年〜数百年かけて邪気を寄せ付け、集まり溜まった所で魔王は誕生するんだ。俺様とは全く関係のない別の魔王がな。そして魔王ってのは生きている間も邪気を吸収し続けていて、ある一定の邪気量を超えると体内に邪気を抑えておけなくなり、排出が必要になるんだ。その排出方法が魔物を生み出すってことになる。つまり俺様はカラダの中が邪気でいっぱいになると、魔物を生み出すことで邪気を消化しているんだな。』


王様E『おいおい!!衝撃的事実だな!!』


王様B『たしかに。まさか魔王が復活するとはな、、、我ら人間は永遠に魔物の脅威にさらされていくのか、、、』


魔王『あー、ちょっと待て。確かにこれまで人間の国を襲わせたりしてきたが、今日の話がうまくいけば、こちらから人間を襲うことはなくなるぞ。あくまでこちらからは!!だけどな。俺様が人間を襲わせていたのは、人間が作る建造物を手に入れたかっただけなんだ。』


王様C『建造物?』


魔王『そうだ。魔物に細かい作業をさせるのは不可能だ。誰だって雨風しのげる場を望むだろう?』


王様E『だから小さな村や町ではなく、城ばかりに攻めてきていたのか。』


魔王『小さな町の、小さな家を手に入れてもしょーがねーしな。』


王様A『そこでだ。各国が資金を出し、人を派遣し魔王城を作る。』


王様E『オレ達への見返りの説明は?』


王様A『それは私から話そう。

魔王が生み出す魔物、それは宝石モンスターとも呼ばれ、討伐すると宝石へと変わることは知られている。

邪気が増えれば増えるほど、魔物の数も魔物の強さも上がっていく。

我々はそれらを上手く使い、経済を回していくのだ。

そして私が考えた仕組みはこうだ。

神託の石があるカンブリア帝国を始まりの国として、戦闘職の素質がある者は強制的に魔王討伐の旅に出していく。その結果カンブリア帝国には大量の人が流れてくる。ただ、冒険者初心者に金銭的余裕はない。なので、出来る限り物価を安く、安価多売でいく。

そこから世界を隈無く冒険させるよう、各地に解決すべき問題を置きながら、装備品も少しずつ強くしていき、合わせて魔物も強くしていく。こうすることで冒険者は自分達のレベルアップのためにも皆同じようなルートを通ることになる。その国々でレベルを上げ、装備を整えさせるんだ。

そして、最後に立ち寄る国になればなる程、そこに辿り着く冒険者の数は少なくなるはずだ。その為物価自体も跳ね上げていく。

どこかの国だけが儲かることのないよう、物価のバランスは調整しながらやっていこう。

次に魔王にも資金源を与えたい。そこで、全滅させた冒険者が持っている資金の半分を没収し、それを魔王の資金源とする。全て没収しない理由は、冒険者が再起できない、再起する意欲が無くなるのを防ぐためだ。

細かい仕組みについてはまたおいおい話すとして、大まかにはこんな感じだが、、、どうだろうか?』


王様C『面白いことを考えおるわ。この案に魔王は賛成しているということでよろしいか?』


魔王『ああ、その通りだ。元々世界を滅ぼすだとか、世界を支配するなんてのは興味ないしな。むしろ滅ぼしてどうすんだよって思うぜw

だから、俺様や俺様の仲間が住む城を作ってくれて、さらには資金源まで用意してくれるとあれば言うことはない。その資金を使い、俺様も豊かに暮らしていこう』


王様C『そうか。ということであれば儂は反対せん。詳細を詰めていこうではないか?』


王様B『そーだな。賛成だ』


王様D『私もC国王に賛成だ』


王様E『オレもジジイに賛成だ』


王様A『では、ここからは詳細について詰めていこうか』


そして国王達の会議は続く。。。


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