最弱冒険者なんですが、何故か最強冒険者の一角的な扱い受けているんですが...。

蜂乃巣

第1話 このギルド辞めたい...。


「うーん....はぁ.....うん。決めた。やっぱりこのギルド辞めよ。」


そう部屋の中で、1人啖呵を切った俺は、眠りにつく。

明日の為に。


-----------


「あっ、デリィ?」


「ん?何だよ、リーク。」


金髪の髪に、野獣の様な眼光、そして鍛え上げられすぎて、最早人間の域を超越している様な肉体を持つ化け物、それがデリル・イーカス。

この男の名前であり、今ではアスリナ帝国屈指の冒険者ギルド『赤穂の蛍』現頭主の名前だ。


「えーっと、さぁ。」


「あぁ。」


「俺、このギルド辞めようかなってさ?思うんだけど。」


「.......んー?あぁ、まぁた、いつものお笑いか??」


「は?」


「てか、やめるも何も、お前...このギルドの次の頭主だし?」


「...は??!」


「だって、そうだろ?この『赤穂の蛍』は、俺ら2人で始めたギルドなんだからよ。」


「......。」


「てか、最近お前冗談多すぎな?ハハッ。」


「ハハッ、、、、でもあれでしょ?まだ皆知らない...」


「知ってるぞ?」


「え?」


「この前、頭主会議で、参加のギルド達、そして『赤穂の蛍』メンバーの総評でお前が、このギルドの頭主になったからな?」


「え?そんなの聞いてない、、、。」


「...?今日話そうと思ってたからな?そりゃ知らないだろ?」


「あ、え?うん。でもデリィがこのギルドの頭主じゃない...?」


「いや、俺はお飾りの頭主だ。皆お前が適任だって前から思ってたよ。でもお前が全然首を振らないからな。勝手に頭主会議を開かせてもらった。」


「あ、ハハッ、そ、そう〜。う、嬉しいなぁ。」


「あぁ、俺も嬉しいぜ。てか、あの時からお前頭主みたいなモンだったんだし、約束もしたしな。」


何だろうか、このニヤついた顔を、今日だけは無性にぶん殴ってやりたい。


まぁ、俺のパンチなんてコイツにとったらハエが止まった程度のものだろうけど...。


てか、約束って何だよ!!

そんな約束した覚えない.....はずだ。


--------------


時は遡る事5年前。

俺ことリーク・バイデルは、窮地に立っていた。


何故なら、どこのパーティも俺を加入してはくれなかったからだ。

『冒険者』という生き物にとって、生命線となるのが、パーティ。


その『パーティ』に入れない人間は、冒険者として生きる事はほぼほぼできない。

まぁ、ソロでも成功例はあるが、ダンジョンという迷宮の中で1人で生き抜く事は周りとは抜きん出た才能がある者しかできはしないのだ。


「やばいなぁ、マジで金ないし、家賃払えないし、カードだって滞納してるしなぁ。てか、何で荷物持ちでも良いって言ってるのに、どこも入れてくれないんだろ?俺って嫌われてんのかな?」


グチグチと自室で、愚痴を吐きながら、服を着る。

頭の中で、グチグチ愚痴を吐く。などとオヤジ染みたダジャレでクスッと笑いながら外へ出ると、道を歩く冒険者達が、一気に俺の方へと視線を向ける。


え?俺臭い?

スンスンっと、服を匂うが、別に臭くはない。


何故、見られているのか分からず、俺を見てきた冒険者達の方を見るが、バッと勢いよく目を逸らされた。


「...?」


もしかして俺、嫌われてる?

え?カード滞納してるから指名手配でもされてんのかな?

などと色々な可能性を考えながら、冒険者ギルドへと歩き出す。


その間も、俺に向けられる冒険者達の視線は変わらなかった。


--------------


そして、冒険者ギルドに行き、『新規パーティ募集』の張り紙をギルドの掲載板に貼り付け、貼り紙に書いた席の番号と同じところに座る。


頼んでもダメなら、俺から冒険者を募集すれば良いのだ。

何故こんな簡単な事に気づかず、4日間も無駄な時間を過ごしたのか...。


まぁ、パーティを組む相手が高レベルでなければ、戦闘力皆無の俺にはダンジョンに入る事すらできないのだが。


ん?待てよ?

今思えば、俺がパーティ募集する立場じゃないよな?

お荷物がパーティリーダーなんて異例では?


んー、やっぱり募集の方は辞めておくか。

そう思っていた時だった。


「おっ、アンタがリークか?」


そう話しかけてきたのは、野獣の様な目つきをしているわりに、まだ幼い顔付きをした、少しだけ体格の良い男だった。


「あ、あぁ。」


「そうか、俺はデリル・イーカス。んーと、よろしく?」


「あ、あぁ。」


俺の冒険者人生はこの出会いから、一変する事になる。

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