第43話 告白
「え?」
「私、柏木くんが好きなの」
盛大な花火が打ち上がり、花火は終わりを迎えた。
「
「どうしても真凜先輩が良いの?」
「先輩じゃなきゃダメなんだ」
前世からの縁があってもなくても真にとってかけがえのない女性は、真凜だけだった。
「……夢を見たんだよね。最近」
さやかは突然話を変える。
「夢?」
「うん、中世ヨーロッパにいる。そこで私どこかの王子様と婚約してたの」
「え? 王子様と?」
「なんて言ったかな? 確か……エドワーズ?」
「え? エドワーズ?」
「うん、劇のあのエドワーズ。それで柏木くんがその人とどこか似ていて、私1人で運命だと思ってた」
「……そっか。ごめん、気持ちに応えられなくて」
「諦めたくないけど……柏木くんに嫌われたくないし、
さやかはベンチから立ち上がり、真に背を向けながら話す。
「……真凜先輩戻ったら、お腹痛いの治りましたって伝えといてくれる?」
「治ったの?」
「うん、治まった。じゃあね、私帰る」
さやかは真に背を向けたまま、顔を見せないように立ち去って行った。少しして真凛が戻って来た。
「あれ? さやかちゃんは?」
「お腹痛いの治ったみたいです」
「そう? 良かった」
真凜はホッとして笑みを浮かべる。
「大丈夫でした? あの男いませんでした?」
「うん、大丈夫」
「先輩、安東さんがエドワーズの婚約者だった令嬢かもしれません」
「え? どういうこと?」
「安東さん、夢を見たそうです。中世ヨーロッパにいる夢」
「うん」
「そこでエドワーズという王子と婚約したと言ってました」
「……そう、それでもしかしたら、さやかちゃんはその令嬢だったってこと?」
「はい」
人々がどんどん帰って行く中、真凜と真はベンチの傍で話を続ける。
「もし向こうへ行けたら何を変える?」
「そうですね……マリアとエドワーズがしなかったことをしてみましょう」
「2人がしなかったこと……」
2人は黙り込み何が良いかと考えを巡らせた。
「例えば……2人で心中しますとか?」
真は真凜のその言葉に驚いたような顔を見せた。
「心中……ですか?」
「うん、もちろん、本当にする訳じゃないよ?」
「そうですよね」
真はその言葉に少しホッとした様子だ。
「やってみる?」
「はい、やってみましょう。とは言っても本当に、次はいつ行くんでしょうね?」
「そうだね……」
2人はそれからいつものように並んで歩きながら帰って行った。
その日の夜2人は『運命の人』を読んでいた。2人はそれぞれ布団に入り、眠りに付いていた深夜0時になった時、2人の部屋にある本が光り始め不思議な力により、2人は再び前世へ飛ばされた。
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