運命の恋人〜巡り逢えて〜
宮守 美妃
第1話 いつもの朝
約束しよう。もし、生まれ変わりがあるのなら……いつか生まれ変わったら……その時は必ず……必ず! 逢いに行くから!」
誰かに言われる言葉を耳にしながら、少女は眠りから覚める。辺りは静寂に包まれ、窓から日差しがかすかに差し込んでいる。爽やかな鳥のさえずりが聞こえ、空気に夏の名残りをかすかに感じる、少し肌寒い朝。
何故か泣きそうな気持ちになりながら、少女はベッドから体を起こし、大きな伸びをした。
「……いつか、必ず……」
夢で聞いた言葉を少女は無意識に呟いていた。
少女は紺色のセーラー服に袖を通し、腰まである長いゆるくウェーブがかった黒髪を1つに束ね、身支度を整えると顔を洗いに部屋を出た。
リビングへ入ると両親と兄がすでに
「おはようございます」
「おはよう、
「おはよう」
「お、真凛、おはよう」
真凛が挨拶をすると、母、父、兄が挨拶を返してくれた。
「真凛、ご飯は?」
「うん、もらおうかな」
席へ付くと、母がお茶碗にご飯をよそって渡してくれる。
「ありがとう」
朝食はご飯にお味噌汁、納豆や卵、焼き魚などの和食だ。
「いただきます」
お味噌汁を一口飲むと温かさに、体がほわっと緩んで行く。“美味しい”と呟き、他のおかずを口に運び、あっという間に食べ終えた。
「ごちそうさまでした」
「真凛、今日も部活?」
真凛が食器を流し台に入れると、母が何気なく聞いてくる。
「うん、今日も遅くなるかも」
「そう、分かった」
「俺も。今日はちょっと遅くなる」
「そう、
真凛は壁時計を見ると、時計の針が出かける時間を差していた。
「そろそろ行かないと……」と真凛は呟きながらパーカーを羽織りつつ玄関へ向かう。
「行ってきます!」と言った真凛は玄関のドアを開けて、木枯らしが吹く肌寒い空気を感じながら外へ足を踏み出した。
* * *
高校は徒歩10分前後。海沿いの街に住んでいて、観光地にもなっている。最寄り駅は
潮風を感じながら真凛は1人高校へ向かう。
高校へ着くと、シューズボックスの前で
「おはよう! 菜帆ちゃん!」
菜帆はサラサラのボブの黒髪をなびかせながら振り返ると、真凛に向かって笑顔を向けた。
「おはよう、真凛!」
「真凛!」
スリッパに履き替えていると、遠くから真凛を呼ぶ声が聞こえた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます