指を差して肩を叩きほっぺつつくやーつ

浴びせタクシー

第1話Jカップ

「フードのついた服を、重ね着しているんだね」

 大学の初授業で後ろの席のマッシュルーム人間にそう言われた鮪は、こんな五流芸大にはもう二度と足を踏み入れまいと誓った。


 この物語は、「なにものにもなれない」というフレーズがやや流行りした時代。好物のお寿司をいつでも食べることができるほど「なにものかにはなれた」今はまだ可愛くて巨乳であること以外に取り柄のない少女

「鮪」の日々の記録である。


 大学を中退して自分探しの旅に出るという個性派を気取る連中の定番思考に、境遇が同じであるし、とりあえず自分も乗っ取ることにした鮪。

 旅の足を求めてリサイクルショップを二周半して出した答えは、竹馬であった。


 教材を吐き出させたリュックに米を詰め込められるだけ詰め、徒歩より圧倒的に歩幅の稼げる竹馬に乗った鮪は、一路瀬戸内海を進んだ。

 

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