阿呆大学生心中物語

@Contract

第1話 その名を道中と言う

大学に入学してからはや2年。


もはや入学時にマグマのように勉学に熱く思いを抱いていた神童であり、桃色のキャンパスライフの全てを手に入れようとしていた自分は、気が付いた時には責任者不在となり、今となってはいかに最低限の努力で学年を進め、面白みのかけらもない灰色のキャンパスライフを読み飛ばしていくばかりである。


なぜこんなにも色鮮やかな未来を思い描く青少年はこんなにも履いて捨てるほどいる阿呆の大学生の仲間になってしまったのだろうか。


その問いの答えはどれもこれも周りが悪いと言うほかない。


強い勉強への熱意にを胸に、ロシア語やドイツ語。熱力学やプログラミングの学問に扉を叩いたが、教授の指導力不足に同じく熱意を持つ学友の不在。


更にはこれ以上学問を学び反逆を起こされても困ると神にすら見放され、目覚まし時計が何故か止まっていたり、大学へ近づけさせまいと強い逆風が吹くこともあり苦難出会ったことは説明するまでもない。


しかしながら、不屈の闘志で何度かの出席を果たし山を張り、テストを迎えたのだが結果は何とも無情な物。


そんな不幸者な私にも小さくとも希望の微かではあったが存在した。

それは漫画研究会と呼ばれる、日本の漫画文化をありとあらゆる角度から学び、人の持つ感情と冗長と豊かさを学ぶ素晴らしいサークル活動であり、さらに私が取りつかれたのは一学年先輩である月恵先輩である。


彼女はこのサークルで美しく咲く一凛の花であり、右に悩める男があれば聖母のようなやさしさで悩みをはらし、自宅へ招き、左にお酒を飲みお金が無くひもじい思いをする苦学生がいればご飯を振舞った。


歴史的な聖人と言っても差支えがなく、教科書に彼女が載る日も近いように思えたが一体何が起こってしまったのか金髪で素行の悪く、紙が片手でテレビを見ながら作ったであろう人間と恋仲となった噂が流れ、大学とゆう一切の物への期待を諦めるに至る。


次第と同じ心を持つ阿呆と行動を共にするようになり、お酒に麻雀、煙草ににギャンブルとこれまでの清らかな心持の反動で、仕方なくやりたくもないこの様な低俗な物に手を出すようになってしまった。


ここまででかなり心を痛め、この苦学生のこれ以上の不幸ごとなど聞きたくも無い人も多いかと思うがご容赦願いたい。


自殺を前に自分とゆう存在が無くなる前に一人でも多くの人に私の雄姿と奮闘を覚えていて欲しい。


人によってはこんな理由でや命を粗末にするなというと思うが、その本当の重さは当人にしか分からないのだ。


死んだ方がましと思う中でも強く生きる人間もいれば、私のような人間も世の中にはいる。


「うん、これでよいか」


慣れもしない筆で書いたため、所々読みずらい所があるがわが友や両親であれば以心伝心何も言わずとも感じ取ってくれるだろう。


「中道、今日も麻雀しよーぜ」


「その声はわが友、明久ではないか」


「そうだよ明久だよ。早く中に入れてくれ」


ガチャガチャとドアを捻っているが、鍵がかかっているので開くこともない。


「お前には色々世話になったな思いかいせば、一緒に社会に対する愚痴を語らいあった喫煙所に、ハイレートでしびれたあの夜に、勉学に集中させるため学校の飲み会とゆう飲み会の情報を集め、荒らして回ったあの夜」


「碌な思い出がないな」


「今まで世話人になったな。尊大な羞恥心に耐えられなくなり穢れ切ったこの世から少し旅にでる」


「いやこの状況で俺を置いて旅にくとかどんな神経してるんだよ」

「あとお前にも羞恥心とかあったんだな」


「ではさらば」


立てかけてあった椅子を蹴り、天井に吊るした縄に身を投げた。


覚悟を決めていたつもりではあったがその時までの時間とは形容しがたく、次があるとしたら二度とやらならないと心に決め、無様にも何とか逃れようとする。


「おい、どうした!?」


暴れた衝動で机や本棚、古い作りの木材から音が鳴り異常に気が付いたのだろう。


まあ、そんなことは今になって冷静に考えられるから分かるのだが。






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