過敏性胃腸症侯群

かもめ7440

第1話


車や電車で、「早く着け、早く」と願ったことはないだろう―――か。

学校から家のトイレまで、

高速も変な走り方で、モーセのように道を開けていった経験は・・?


日本人の約十人に一人が、この過敏性胃腸症侯群(IBS)によって、

下痢や便秘やおなら等のお腹の不調に悩まされている。

世界に換算すると、一〇~一五パーセントの人が、

この過敏性腸症候群に苦しんでいる、といわれている。


1、排便と関連する

2、排便の頻度の変化と関係する

3、便の形状の変化と関係する


さらに便の状態により、


1、便秘型

2、下痢型

3、混合型

4、分類不能型


に分類される。診断では、症状を詳しく聞くことが重要だ。

別の病気の可能性もないわけではない。

素人の見識なんかがまかり通るなら医者はいらない。

ちなみに病院へ行って腸に問題はない、と言われても、

まだ気になるようなら別の病院へ行ってみるのもいい。

僕は医者を信用していないわけではないけど、

気に入らない病院には二度と行かないことにしている。

家から近いとか、なんて以ての外だ。

ましてやストレスで過敏性胃腸症侯群があるのに、

そんなことも理解できないようなデリカシーのない医者など、

医師免許を剥奪すべきではないか、と本当に思う。


善人である必要はないけれど、

よくもまあこんな奴が医者になれたなみたいな奴もいるものだ。

もちろん医者も人間だろうけど、僕等だって人間だ。

人が集まれば噂話が生まれ、怪談が生まれ、もちろん揉め事が起こる。

それに付け加えて、誰だって病院が好きなわけじゃない。

そういう中で、医者の言葉でいらっとくるってもはや最低である。

医療機関を選ぶ時代だ。むしろサービスの度合いが高く、

満足度が高い指数を表示してほしいとすら思う。


このように誠意があるか、その人となりはどうかとか、

自分の見解や感覚との誤差がどれほどかによっては、

そんな奴、糞だと思うことにしている。

信用できる人の見解に肯くから、治療というのだ。

風邪薬だって病院の方がきくような気がするけど、

有効成分は変わらない、偽薬効果で医者も市販の薬を飲む。

でも安心がプラスアルファになっているのだ、

という言い方も出来る。

とはいえ、整腸剤などをもらっても、その薬がまったきかない。

これは過敏性胃腸症侯群あるあるだ。

「ストレスが原因ですね、

あまりストレスを溜めないようにして下さい」

というが、その方法を知っているならむしろ教えて欲しい。


ところで飲酒やカフェイン、脂質が多い食事、香辛料などで、

お腹が痛くなるのが知られている。

何となくそうだと気付いている人もいれば、まったくもってその通りだ、

という感じ方にも誤差があるだろうが、おおむねそうだ。

カレーが食べられない人がいるので聞いてみたら、

すぐにお腹を壊すからだと答えてくれた。

カレーって香辛料がすごいと汗がドバドバ出てくる。

汗を掻くのが気持ちいいと思う人と、そうではない人がいる。

体調の変化が何処に来るかっていえば、お腹だ。

もちろんそれが過敏性腸症候群はわからないけれど、

これを食べてはいけないという知識はかなり有効だ。

たとえばキャベツに含まれる化学物質が脳に作用して、

排便を促すことも知られている。

そういうのも嘘か真かもわからないではなく、

実際に試してみてその通りだったら、回避すればいい。


鬼や悪魔みたいなことを書いているかも知れないけど、

何が原因かもわからないままずっと耐えるなんて不可能だ。


またFODMAPというのがある。

四種類の発酵性の糖質それぞれの頭文字をとった言葉で、

これらの食品の摂取を控える「低FODMAP食」の食事療法により、

下痢型および便秘型IBSどちらの症状も軽減したという、

研究結果が報告されており、科学的根拠の高い食事法とされている。

具体的には、以上のようなものが挙げられる。

「オリゴ糖が含まれた食品・・・豆類、玉葱、大蒜、牛蒡、納豆等」

「二糖類が含まれた食品・・・牛乳、ヨーグルト、アイスクリーム等」

「単糖類が含まれた食品・・・蜂蜜、林檎、桃、西瓜等」

「ポリオールが含まれた食品・・・茸類、薩摩芋、人工甘味料等」


本来腸にいいと言われている食べ物が逆に、

過敏性腸症候群の患者には悪影響を与える。

思うに、三十代後半から四十代ぐらいの人が、

自分だけの食事法や、健康法を見つけるように、

(僕の経験や感覚として、色んなことが平気になる年齢、)

人と違うことに気付いたら、規則正しい生活、

普通の食事を心がけてみるといい。

人と違って当たり前なんだか―――ら。

玉葱やヨーグルト、小麦製品を避けて、

米と魚、肉野菜のシンプルな食生活を続けるだけえ緩和する例がある。

これを食べるとお腹が痛くなるというものを割り出せれば、

もっとその効果は引き上がる。


さて、腸は第二の脳といわれ、

脳の監視がなくても機能できる唯一の臓器で、

一億個の脳細胞がある。

腸の神経系は、消化や排泄を司る絶対者として君臨しており、

それ自体であらゆる機能を遂行する。

科学者の中には、ここを中枢神経系の一部とみなす者や、

その本体であるとみなす者もいる。新生児の脳みたいなものだ。

このような具合だから、お腹が痛いっていうのは相当深刻だ。

腸が脳に感情のサインを送り、すなわち思考や推論、

対人コミュニケーションすら腸が関与している可能性もあるという話もある。

胃腸障害は腸の”精神疾患”といえるし、

自閉症と腸内細菌株の関係もある。

また腸は過食と関係ありとする話もある。

脳を刺激して食欲を促進し、腸内の脂肪センサーが明らかになった。

ゆえに腸内細菌が嗜好食品の摂食行動を調節するということもいえる。


繊細な人がいるけれど、繊細な人って薄幸そうな感じがして、

もしかしたらお腹がすぐ痛くなる人なのかも知れない。

お腹の痛さは生き辛さを爆上げする。

ちなみに男性より女性に多く、年代別では思春期から壮年期までみられ、

二〇~四〇歳代に好発する。これも一概にはいえないものの、

男性は下痢型が多く、女性は便秘型、

あるいは下痢と便秘を繰り返す混合型が多く、

発症時には何らかのストレスが関わっていることが多い。

この病気に加えて、痔が参加して来ると、

もはや神に祈ることしか出来ない。


また腸にはおおまかに五つのタイプがある。

腸から性格分類や、その対処法まで存在する。

・タイプA

「肉を好み、高たんぱく・高脂肪の食事が多いタイプ。

肥満の原因といわれる、ルミノコッカス属という細菌が多い」

・タイプB

「三大栄養素であるたんぱく質・脂質・炭水化物(糖質)の、

バランスがよい食事タイプ。肥満を防ぐといわれるバクテロイデス属や、

炎症を抑える酪酸を作るフィーカリバクテリウム属が多い」

・タイプC

「炭水化物に偏った食事が多いタイプ。

肥満を防ぐバクテロイデス属は多いものの、

炎症を防ぐフィーカリバクテリウム属は少ない」

・タイプD

「高たんぱく・高脂質に加え、砂糖の摂取が多い食事タイプ。

いわゆるビフィズス菌であるビフィドバクテリウム属が多いものの、

タイプA(高たんぱく・高脂肪)に近い腸内環境」

・タイプE

「野菜や魚が多く、脂質が少ないヘルシー型の食事タイプ。

お米を長期に渡って食べている人に多いといわれる、

プレボテラ属という細菌が多い。

プレボテラ属食物繊維の分解にかかわっていると考えられている」


かように、神に祈ることをやめて戦う気持ちになったら、

自分の排泄物の記録をつけて、

「ブリストル便形状スケール(Bristol Stool Form Scale)」

なるものに照らし合わせ、その状態を日々チェックし続けるのもいい。

人間は記録をつけるのが苦手な生き物だ。

人間の腸内には無数の細菌が暮らしている。

こうした「腸内細菌叢(腸内フローラ)」は、

僕等の健康全般に大きな影響を及ぼしている。

腸内細菌叢の構成の違いが、

肥満・糖尿病・過敏性症候群に関連しているとする研究結果も、

報告されているが、何と解決策もある。


便移植(便微生物移植)である。

これの基本的な考え方は、この腸内細菌叢を変えることだ。

健康な人の便を身体に入れて、そこに潜む健康な細菌を一緒にもらう。

やり方としては、トップダウン式とボトムアップ式がある。

トップダウン式はカプセルを飲んだり、鼻からチューブを挿れて、

胃や腸に便を送り届ける。

ボトムアップ式は浣腸で腸へ直接送り込む。

あるいは全身麻酔をして、大腸上部にチューブを挿入し、

そこからうんちを流し込むこともある。

こうした便移植は、「クロストリジウム・ディフィシル感染症」のような、

命にかかわる腸の病気を治療するために行われている。

また前述したように「過敏性腸症候群」「潰瘍性大腸炎」

「HIV」「肝炎」などでも治験が行われており、

それぞれに有望な結果が得られている。

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