第6話

公園につき自転車を停めて

金木犀が咲いて居るという

花壇へ向かう

まるで旧知の間柄の様に

会いに来てと言われたけれど

この公園に来たのは初めてだ

ああ、あった、金木犀だ


初めましてと言おうと思った

けれど金木犀の香りに包まれた瞬間

直ぐにそれは間違いだと気付いた

何度も君には会って居る

小学校の校庭で直くんと遊んだ時

高校の同級生と駅前で喋って居た時

上司と一緒にサボって缶コーヒー飲んでた時

あの人と一緒に歩いた遊歩道

香りが記憶を呼び覚ます

確かにあの時、貴方は咲いて居た

「そうかも知れませんね」


(つづく)

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