第13話

その時、ふっとイイ匂いがした。


『なんか…いいニオイがする…』


シャワー室は石けんの香りでいっぱいなのに、その中で何か違った匂いがする。


『俺?』


きょとんとした顔で聞いてきた。


『うん』


たぶん、この人なんだろう…。



『あー…、つけてるからかなぁ』


どうやら『ブルガリ』のナントカ?というのを付けているらしい。


男の香水がイヤじゃなかったのは、これで二回目だ。



『そっかぁ。ねぇ、なんの仕事してるの?』


あたしは、珍しく他人に『興味』を持った。



仕事上の会話では無く、本当に何をしている人なのか知りたくなった。

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