勇者が悪役令嬢を討伐するまで
沼津平成
第1話 伝説・初老の勇者という前世
その勇者は、パーティを持たず、一匹狼で暮らしていた。
決して若いとはいえなかった。今は一週間に二度か三度、洞窟にいって、スライムを何体か倒して、街の平和を守っていた。
勇者は、ある日、現代に転生した。前よりは少し若くなっていたが、それでも中年世代という
たいていは誇張表現や、迷信だった。しかし、勇者は飽きなかった。
ある日の午後。午前中にアスレチックを回った勇者・
「エレン・スピートといいます」と老人はいった。「――失礼、これは異世界でのなまえでした。あなたは現代人ですよね?」
北洞は答えを迷った。たしかに異世界でエレン・スピートという名前は聞いたことがある。
(しかし、この老人が異世界とつながっているわけでなく、知人がエレン・スピートという可能性もあるし、現代でも話題になっているエレンの話をだして、僕の興味を引いているということも考えられる。どうしようかな……)
迷った末、北洞は作り笑顔を保ちながら返した。
「エレンさんこんにちは。僕は、ウィージア・トランスティーニです」
ウィージア・トランスティーニと聞いた途端に老人が笑った。「なんと! あなたも元異世界住民でしたか」
北洞は「恥ずかしながら……」と顔を赤らめた。そして、この老人が真実を話しているということを確かめた。
老人の顔に、噓はなかった。
勇者が悪役令嬢を討伐するまで 沼津平成 @Numadu-StickmanNovel
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