収集した怪談集
しんいち
第1話 新築分譲物件
この話は自分が執筆している「幽子さんの謎解きレポート」エピソード3の元ネタになります。
皆様は物件の怖い話と言えば、人が亡くなった「事故物件」を連想すると思いますが、この話は新築の分譲物件を購入した家族にまつわる話になります。
お話を聞かせてもらった方は、自分の友人の息子さん(佑馬さん)から聞かせてもらったお話になります。
体験者様は佑馬さんではなくその恋人のBさんの御家族です。
佑馬さんのお話では「彼女の家族は呪われているんです…」と言っており、詳しい話を聞かせてもらったところ以下のような内容になります。
Bさんの御家族は先ず、お父さん、お母さん、長女のAさんの、次女のBさん、三女のCさんの5人家族で暮らしていました。
お父さんは大手のスーパーではありませんが、地元では有名なスーパーにお勤めで、立地も良いのか、かなりお店の方は繁盛しているとの事でした。
お父さんはその店舗の店長と言う肩書きを持っており、お給料の方もかなり良かったみたいです。
Bさんの家族が以前住んでいた場所は、けして狭くはないアパートにお住まいでしたが、彼女が高校一年生の時に、お父さんが一念発起して、新築の分譲物件を購入することを決意して、現在お住まいの家に引っ越ししたそうです。
ただ、悲劇の連鎖はこの家に引っ越ししてから僅か半年後に起こりました。
始まりはお父さんでした。
引っ越し終えて一段落した頃、新しい環境で期待が膨らんでいた時に、お父さんは身体の異変に気付きました。
最初はお腹の痛みや疲れだったそうです。最初は「大丈夫だろう」と軽く考えていましたが、家族からの薦めでお父さんは病院に行くことになりました。
そこで、「ガン」と告知されたそうです。
それも進行性のガンで既に転移もみられ余命3ヶ月と告げられました。
すぐに入院をして出来る限りの事をしましたが、お父さんは余命をまっとうすることなく、入院して2ヶ月ほとで亡くなってしまいました。
さらに悲劇は続きます。
お父さんが亡くなって半年後のこと、Bさんが高校2年生に上がってすぐに事件は起こりました。
三女のCさんが左折したトラックに巻き込まれ意識不明の状態で病院に運び込まれてしまいました。
3ヶ月ほど生死の境を彷徨っていましたが、幸い無事に生還されて、事故の怪我も少し障害が残る程度ですんだそうです。
ただ、事故の影響で重度のPTSD(心的外傷後ストレス障害)にかかり、パニック障害も併発してしまい、週に2度の通院を余儀なくされてしまいました。
立て続けて起こった悲劇に、お母さんも少しおかしくなってしまったのか、心の疲れを宗教に助けを求めてしまい、月2度行われるセミナーにも足繁く通い、どっぷりと宗教にはまってしまったとの事です。
佑馬さんもこの家に遊びにいった際に、お母さんの方からしつこく、宗教の勧誘を受けて大変嫌な思いをしたとの事で、「出来ればあのお母さんとは絶対に会いたくないですね。」とあからさまに嫌悪感を現していました。
お母さんは娘さんたちにも同様に、宗教に入るように要求していたそうで、長女のAさんとは度々激しい口論になることもありました。
そんな事が続いてお母さんに愛想が尽きたのか、高校卒業と同時に家を出てしまい、最初こそBさんと連絡をとっていたそうですが、現在は連絡が取れず、行方も分からないとの事です。
最後にBさんにも異変があり、その後高校を卒業して無事に就職はしたものの、就職した先が僅か半年で倒産してしまい、給料の未払い等散々な目にあったとの事です。
現在、Bさんの家族ですが、お母さんと三女のCさんは、家から週2回、電車やバスを乗り継いでの通院は大変との事で、病院近くの安いアパートにお住まいとの事です。
お母さんはたまに家の方には帰って来るそうですが、今でも宗教からは抜け出せずにいるため、Bさんは出来れば顔を合わせてたくないそうで、お母さんが帰って来る時は、バイトと言って出来るだけ顔を会わせないようにしているみたいです。
Bさんは現在、この家に1人で住みながら、医療事務の資格を取るとの事でバイトをしながら頑張っているとの事でした。
引っ越してから僅か数年で、大袈裟な言い方かも知れませんが、一家離散してしまったお話になります。
特に幽霊が出るとか、土地に因縁があると言う話ではありません。ただ、知り合いの不動産関係のお仕事をされてる友人にこの話をしたところ「このような話はたまに聞く」との事でした。
家に引っ越してから運気が下がり大変な思いをされる方や、逆に引っ越してから運気が上がり順風満帆な生活に変わった方もいると、その友人から聞かされました。
もしこの話を読んで下さってる読者様の中に、家を購入しようと思っている方がいましたら充分お気をつけ下さい。
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