妄想刑事ドラマ

鷹山トシキ

第1話

 新しい踊る大捜査線


---


青島は、事件の捜査に没頭している一方で、雪乃との関係が少しずつ深まっていることに気づき始めていた。仕事の合間に二人きりになる時間が増え、ふとした瞬間に互いの目が合い、言葉にしなくても通じ合う気配を感じることがあった。


「青島、こっちも少し見てみて」と、雪乃が差し出した資料に目を通しながら、青島は思わず彼女の横顔を見つめた。その顔は、いつも冷静で知的な表情を崩さずにいるが、時折見せる優しさに、青島はどこか胸の奥で引かれるものを感じていた。


一方、すみれは青島に対して抱いている感情を、まだ素直に認めることができなかった。和久の娘として育った彼女は、青島のような熱血タイプとは少し距離を感じていた。しかし、事件解決後に何度か二人きりで過ごす時間を持つうち、彼の優しさと不器用な一面に触れることで、心が揺れ動く自分を感じ始めていた。


ある日の帰り道、青島とすみれが並んで歩く中、ふとすみれが話し始めた。


「青島さん、もし…もしも私が何か危険な目にあったら、どうする?」


青島は驚き、足を止めて彼女を見つめた。「危険な目って、どういうことだ?」


「いや、何でもないんです。ちょっと思いついただけ。」すみれは小さく笑って、そのまま歩き出す。


だが、青島はその笑顔の裏にある不安や心の葛藤を感じ取り、心の中で何かが引っかかる思いがした。それは、ただの職場の仲間としての思いではなかった。


その夜、青島は部屋で一人、雪乃との未来を考えていた。しかし、同時にすみれとの距離感にも意識が向いていた。二人の間にはまだ何も起こっていないが、どこか心が揺れる感覚を覚えていた。


そんな青島の心の内を知らずに、雪乃は彼に向かって穏やかな笑顔を見せていた。「青島、今日はありがとね。あの件、すぐに解決できたから、また一緒に仕事ができて嬉しい。」


青島は少しだけ照れくさそうに微笑んだ。「うん、俺も嬉しいよ。」


だが、その微笑みの背後には、どこか複雑な思いが渦巻いていた。すみれとの心の葛藤、そして雪乃との関係――この先、どちらを選ぶべきかが、青島の心に重くのしかかっていた。



---


このシーンでは、青島と雪乃、そしてすみれの間に芽生える感情が描かれています。今後、三角関係がどう展開していくのか、彼らの感情が交錯しながらも事件の捜査が続いていく中で、それぞれの心の葛藤が深まっていく様子が見えてきます。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る