第29話

気づくと家にいた。


きっと送ってもらったんだろうけど、よく覚えていない。


気持ち悪い…。意外と冷静な自分がいた。フラフラと風呂場へ行き体を洗う。


『あ…』


胸からは血が少し出ていて。

きっと噛まれた時だ。あそこはヒリヒリする。頭がボーとしている。


風呂を上がり部屋に戻り布団に入る。




…私はずっと、セックスというものは、好きな人とじゃないとできないもんだと思っていた。 



『なんだ…。好きじゃなくてもできるんだ。セックスなんてどってことない。気持ちいいもんでもない。誰でも同じ。だって、どうせ何も感じないんだから…』

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