次男誕生・そして、緊急の呼出
アメリカでの同時多発テロ事件の映像をもろに見てしまった賢。その影響からか、精神的に不安定な状態が続き、大きな物音がするとびっくりしたり、アクション映画を見て怖がったりという状態がしばらく続き、ようやく落ち着いてきたと思ったら、今度はさと子が出産のために、病院に入院することになっていたので、賢と私は実家に帰って、賢は幼稚園に、母や父が仕事の合間を縫って送迎をしてもらい、私も実家から会社に通勤することになり、さと子が入院する前に、私と賢の必要なものをまとめて、実家に身を寄せることになった。実は実家では、私の姉が9月の終わりに第3子を出産して、そのあとすぐに私たちの出産と言う日々が続いたので、両親には負担をかける結果になったのであるが、両親は孫がすぐ近くにいるので、半分喜んでいるようであった。
そして出産の日10月22日が訪れて、わたしは会社を有給で休んで、子供が生まれるのを待合室で熊毛の実家の両親と待っている状態であった。私も賢の出産のときは待ってる間緊張していたが、2回目ともなるとどのような感じになるのか、だいたい分っているので、賢のときよりは落ち着いて待つことができたが、熊毛の両親はいささか落ち着かない感じで、そわそわしていた。そうしていよいよ私たちにとって第2子の誕生のときが訪れよとしていたのであった。
出産の時が近づいてきて、悠の出産のために病院で待機している私たち。やがて奥のほうから元気な産声が聞こえてきて、無事に生まれたかと思っていたら私たちの子供ではなくて、もう一組、出産を控えていた若い夫婦の子供さんで、看護婦さんの話では
「もうすぐ生まれるみたいですよ」
ということを告げられて、さらに待つこと30分くらいだったであろうか。再び元気な産声が聞こえてきて、看護婦さんから
「元気な男の子ですよ」
と、告げられて、一瞬ではあるが、悠顔を見ることができた。顔の各パーツは私に似て、目は二重・鼻や口元も私に似ていた。そして顔の輪郭はさと子に似ていて、丸みを帯びた顔立ちをしていた。ちょっとの間ではあるが、生まれてきた悠と顔を合わすことができて、そして、やがてストレッチャーに乗って運ばれてきたさと子に対して、出産という大仕事を終えたばかりなので、まずは
「お疲れさん、よく頑張ってくれたね。メッチャ可愛かった」
と声をかけて、一緒にいた熊毛の両親も一言二言話をして、やがて処置室に連れて行かれた。まずは母子共に健康な状態で出産を終えることができてほっとした私たちであった。
そして10月22日は夜勤だったのであるが、休みを取って会社の上司には夜8時ごろ連絡をして無事に生まれたことを伝えて、その日は実家に帰って、生まれたばかりの悠の写真を看護婦さんからもらったので、その写真を両親に見せてみんな
「かわいい~」
と言って写真を見入っていた。私も病院の許可を得て、ビデオカメラを持っていって写したので、そのときの様子も見せて、喜んでいた。特に両親は2ヶ月続けておめでたいことが重なったので大喜びしていた。
そして、翌日の夜、仕事に行くため食事を終えて準備をしていると、病院から一本の電話がかかってきた。緊急に話さなければならないことがあるので、今すぐ病院に来てほしいというものでああった。その連絡を受けて、何があったのかと思いながらも、病院に駆けつけた私であった。
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