第12話:転生特典は案外身近にある

現世名エイト、40歳になりました。


何とかこの年まで生き延びることができた。


というのもモンスターの襲撃などなかなかハードな事件が多数発生した。


しかし、そのおかげで特殊能力といえるものに気が付くことができた。


例えばナインの能力は以前考察していた通り、身体が異常なほどに強化されていた。


ルフ……ロック鳥を一撃で沈めた時は奴が怪物に見えた。


テンの能力は物質を変換するもの。木材と水さえあれば美しい紙を生成できる。


これを利用して何冊かの本を生成した。


聖書、経典、そしてこの世界開拓記、本にしておくことで次の世代に伝わりやすくする役割がある。


聖書の中には私達が学んできた様々な宗教についてざっくばらんに記しておいた。


経典には神の木の使い方についてと転生者の詳細について記載しておく。


興味があったら読んでみてほしい。


世界開拓記には現在までの記録をすべて転記した。


そう、転記の能力こそ私の能力だ。


地味だが、本を量産するのに便利だった。


こうして聖書と経典が世界中に流布された。


ふふ、私の書いた本で世界が変わるというのは作家みょうりに尽きる。


さて、私の役目もここで終わりだ。


この世界開拓記も後続に託したいと思う。


私達はのんびり味噌汁でも飲みながら余生を過ごそうと思う。


この本を読んでいる人よ。おそらく転生初心者よ。


世界は案外悪くないぞ。


君も君の手で世界を変えてみるといい。


それは思いのほか楽しく、思ったより大変だ。


クリア歴50年、世界で初めて本が生産された瞬間である。

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