妹弟みんな転生しちゃった!

桜月ルカ

第0話 転生するらしい

姉弟で久しぶりのキャンプに行った帰り、

それは突然の出来事だった。


長女の私と一つ下の妹はそれぞれ実家から離れた大学に進学し、三女は高3で受験勉強で忙しかった。


みんな自分のことで精一杯だった。

だから、みんなの学業が一段落したときに…


私「みんなーちゅうもーく!!」

4人「なに~」

次女「みんなでキャンプ行くよ!」

4人「「「「なんで??」」」」


私と次女が久しぶりにみんなで出かけたいとキャンプを計画していた。


そういうわけで私たち6人はキャンプを楽しんだ。


キャンプの帰り道。


「思ったより大変だったね」

「ねー」

「下2人は寝ちゃったよ」

「疲れた…」

「子供?…ッッ!!?」


幼稚園か、小学校低学年くらいの子供が飛び出してきた。


キィィィィィ


私は慌ててハンドルを操作する。


すると車は…ガードレールの外に投げ出されてしまった。


私(ウっソでしょ?)

6人「キャァァァァ」


ドゴンっ


100mと少しほど転がったところで車は止まった。


『こちらが1週間前から行方不明になっていた山上凛花さん、七菜香さ…雷牙さんが乗っていた車です。車は山道から110mほど下に横たわっています。事故の原因は…』


私たちの事故は、悲しい事故として、大して広がることもなく忘れられていった。


これは、子供が飛び出したことに驚いた私が起こしてしまった不幸な事故…ではなかった?




◇◇◇


「んにゅぅ……あ!みんなは⁈」


私はハッとして周りを見渡した。見回したけれど、真っ白で何も分からなかった。何せ、凹凸もわからないような圧倒的な白さだったのだから。


「あら、やっと起きたの?」


「へ?」


さっき見まわしたと思うのだが、後ろから声が聞こえてきた。慌てて振り向くと、そこには圧倒的な雰囲気をまとう、白と黒の神がいた。何故神だとわかったのか?そんなことはわからない。ただ本能がコイツらは神だ。絶対に逆らうなよ、と訴えかけてくるのだ。知らない知識がさも知っているかのように湧いてくる、不思議な感覚であった。


「あ、え?あ、ど、ちら様、でしょうか」


混乱する頭からなんとか一言搾り出す。先に頭を垂れたほうがよかっただろうか。そんなことを考えていると、白い神はキョトンとした顔を、黒い神はハッとしたような顔をした。


「あれ、自己紹介してないっけ。」


「してないですよ。姉上あねうえ。ではまずは私から。私は月読命つくよみのみことと言います。どうぞよろしく。」


「はいはーい。私は天照大御神あまてらすおおみかみだよー。よろしくー」


「よろしくお願いいたしますっ」


わっつ?かみ?…今までこれほど緊張したことはあるだろうか。いや、ないと思う。だって神だよ?もうなんか、自己紹介される前から雰囲気で圧倒されて、神だってわかっちゃうような相手だよ?そんな相手がわざわざ私なんかに自己紹介してくれたんだよ?私みたいな小心者が緊張しないわけなくない?てか、小心者でなくても緊張すると思う。絶対。


「でねー、君をここに呼んだ理由なんだけどー」


「はいっどのようなご用件でしょうか!」


「君には転生して、世界を救ってもらいまーす!」


「はいっ…は?え?せ、かいを、すくう?」


意味がわからない。私はただの社会人一年目だぞ。学生時代に大して成績が良かったわけでもなく、武道も中学生の時に剣道をちょろっとやっただけで強いわけではない。いい点と言えばちょっと顔が良くて、ちょっと面倒見のいいだけのただの女だ。とてもとても世界を救うような大義を全うできるような人間じゃない。


「そうそう。世界を救うの。ツクヨミ、説明よろ。」


「はいはい。わかってますよ。まず、あなたは山上やまかみ凛花りんかさんで、両親の名前はルイとアイであってますか?」


「はい。間違いありません。」


「まず、両親の名前、偽名ですよ」


「は?」


やっばい。間違えて大分失礼な口を聞いてしまった。それにしても両親の名前が偽名ってどういうことだ?2人ともそれぞれの名前を間違えたりなんてしてなかったし、違和感なんてなかった、と思う。というかアイとルイが偽名なら本名はなんなんだ?


「失礼ながら、両親の名前が偽名なのでしたら、本名をお聞きしてもよろしいでしょうか。」


この気に及んでしっかりとデスマスをできているだけでも褒めて欲しい。さっきから2人の口から爆弾しか出てこない。


「あぁ。それはもちろん。まず、君の父の名はルイザック・アラスター・グリッシード。グリッシード聖王国の第52代聖王だ。そして母の名前はアイアレッド・クララ・ルソーリサ。ルソーリサ魔帝国の第52代魔王だ。」


「……ほぇ?」


え?え?お父さんもお母さんも、王様?なんか2人ともかっこいい名前してる。しかも、聖王国と?魔帝国?言うからに敵対してそうな名前してるし。しかもなんか意味ありげに王様の第の数が同じだしさぁ。…待って、2人ともいなくなったなら次代の聖王様とか魔王様とかどうなっちゃったの?私にどっちかやれとか言わないよね?てかなんで聖王様と魔王様が地球で平民として暮らしてるの⁈おかしいでしょ!


「ちょっとー、混乱してるとか悪いけどー、はなしきいてー」


「あ、す、申し訳ありません!衝撃が大きかったもので。」


「まーいーよー。ツクヨミ!」


「はい。さっきの続きなんだけど、2人は、王時代から恋人同士だったんだよ。もちろん、周りには内緒でね。で、王の任期が終わったら、それぞれの守護神からちょっとしたご褒美がもらえるんだ。それで、2人は、2人

で安全に暮らせる環境を願ったんだ。最初は地球ではなく、元の世界で姿を変えて暮らすはずだったんだが、まあ、色々とあってな。あちらの世界、【ラヲマカヤ】と言うのだがな、ラヲマカヤに危機が迫ったら助けに入ると言う契約をかわして地球で暮らすことになったんだよ。で、今が危機と言うわけだ。」


「そう言うことー私たちはラヲマカヤの神たちと2人の契約に立ち会っているのー、で、君には2人の代理を果たしてもらわないといけないわけだー。あ、ちなみに、君たち崖から落ちたでしょ?あれ私たちのせいだけど、君のつれは無事だから安心してねー」


「あ、はい。」


???

王様時代から恋人?

守護神?

任期?

契約?

ラヲマカヤ?

代理?

事故は神様のせい?


「あ、そう言えば君たちの両親は、地球で普通に暮らせるように、能力の制限してるみたいだから、制限解除しておくよ。もっとも、一気に解放しての使いこなせないと思うから、少しずつ解放されるように、だけどね。それと、私の加護を与えておく。私はそれなりにくらいの高い神だから、色んな恩恵があると思うよ。」


「あっはい。ありがとうございます。」


せーげん?能力に?なんか強かったの?私。加護?ってあのゲームとかによくある加護?あとやっぱりツクヨミ様くらいの高い神様なんだ。いや、まあそうだよね。太陽の神の兄弟で月の神だもんね。くらいが低いわけないもんね。


「詳細は私の眷属に聞いてくれ。まあ、詳しいことは聞けないだろかが…」


「そんじゃ、そろそろ転生の準備しないとー、君のここにいられる時間って割と限られてるからねー」


「はいっ、色々とありがとうございました!」


なんかもう、わけわかんないし、こんがらがっちゃってるけど、とりあえず今はちゃんと従おう!で、ちゃんと役割全うしよう!怖い目には会いたくないし!来世?の私の目標は、痛い思いせず、神様に言われたことをちゃんとやって、穏便に人生を終わらせることだ!


…あれ?私何やればいいんだろ。なんも聞いてなくない?


「あのっ」


「あ、ちなみに魔法があるわよーがんばってねー」


「ご武運を」


やっちゃったー!





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