第32話 第一章 第十四節:火器を手にした戦士たち

 昭和後期に入り、冥府機関はさらなる進化を遂げていた。妖怪たちが形を変え、より現代的な環境に適応していく中で、冥府機関もまた変化を余儀なくされていた。伝統的な剣術や霊術に加え、火器や最新技術を取り入れた戦闘スタイルが開発された。


「これが新時代の冥府機関だ。火器と霊術の融合で、奴らに立ち向かう」

新リーダーの藤堂一真は、そう宣言して新たなメンバーたちを招集した。その中には、火器をメインに扱うエージェントたちが含まれていた。


新たなメンバーたち


銃撃手・榊原隼人(さかきばら はやと):

妖気を帯びた特殊弾を扱うスナイパー。遠距離からの正確な射撃で妖怪の核を狙うエキスパート。

武器: 狙撃銃「黒閃(こくせん)」

性格: 冷静沈着で、常に状況を俯瞰して分析する。無駄な動きがなく、効率を重視。


突撃兵・大和蓮司(やまと れんじ):

妖怪に特化したショットガンを用い、前線での圧倒的な火力を発揮する。

武器: 霊式ショットガン「陽焔(ひほのお)」

性格: 勇猛果敢で、誰よりも先に敵に飛び込む。チームを鼓舞する兄貴分的存在。


爆破専門・石原千佳(いしはら ちか):

妖怪封印用の特殊爆弾を製造・使用するエキスパート。

武器: 妖気封印グレネード「蒼鎖(そうさ)」

性格: 明るく快活で、ユーモアを交えた会話でチームの緊張を和らげる。


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東京の新宿――戦後復興の象徴とも言える高層ビル群の一角で、突如として異常現象が発生した。ビル全体が妖気に覆われ、周囲には不可解な声が響き渡っていた。中にいた人々は行方不明となり、ビル自体がまるで生き物のように動き出したという。


「黒羽根の女の仕業かもしれない。今回は火器チームを中心に対処する」

藤堂の指示で、榊原、蓮司、千佳が先行部隊としてビル内へ突入することになった。


ビル内は薄暗く、異様な空気が漂っていた。壁や天井には不気味な紋様が浮かび上がり、時折それが蠢いていた。


「……まるで生きてるみたいだな」

蓮司がショットガンを構えながら周囲を警戒する。突然、壁の一部が裂けるように開き、中から「憑闇獣(つきやみじゅう)」と呼ばれる妖怪が現れた。


「来たか!榊原、援護を頼む!」

蓮司が突進する憑闇獣に向かってショットガンを発射する。妖気を封じる特殊な弾が獣の動きを一瞬鈍らせるが、相手は再生能力を持ち、すぐに復活する。


「無駄撃ちはするな。核を狙え」

榊原が冷静に言い放ち、狙撃銃「黒閃」を構える。ビルの奥深くから響く低い振動音を頼りに、獣の核を探し出す。


「核の位置を特定……8時の方向、天井近くだ」

彼が発砲すると、銃弾が闇を切り裂き、獣の核を正確に撃ち抜いた。その瞬間、獣は霧散し、ビル内の妖気がわずかに薄れた。


しかし、核を破壊したにもかかわらず、壁や天井が再び蠢き出し、新たな妖怪が次々と現れた。


「一体どうなってるんだ!?終わりが見えねぇ!」

蓮司が再びショットガンを撃ち込みながら叫ぶ。千佳がすかさず妖気封印グレネード「蒼鎖」を投げ、広範囲の妖怪を拘束する。


「これで時間を稼げるわ。でも、これ以上は持たない!」

千佳が汗を拭いながら叫ぶ。その時、藤堂から通信が入った。


「ビル全体が妖怪化している。このままでは埒が明かない。中心部に突入しろ、黒羽根の女の核があるはずだ」


榊原が先頭に立ち、中心部を目指す。道中、異様に伸びた廊下や曲がりくねった階段が行く手を阻むが、彼の正確な射撃と蓮司の突進力で切り抜けていく。


「ここが……中心部か」

たどり着いたのは、ビルの最上階。そこには巨大な黒い羽根が浮かび上がり、不気味な音を発していた。


「これは……黒羽根の女の力そのものだ」

榊原がつぶやく。その瞬間、黒い羽根が収縮し、中から巨大な「虚影王(きょえいおう)」が現れた。


虚影王は全身を闇で覆われた巨人のような姿をしており、その一振りの腕だけで床や壁を破壊していく。


「ここからが本番だ!」

蓮司がショットガンを連射し、虚影王の体を削ろうとする。しかし、その巨体は全ての攻撃を弾き返す。


「榊原、核を探せ!」

千佳が叫びながらグレネードを投げ、虚影王の動きをわずかに遅らせる。榊原はその隙を突き、虚影王の核を探し出す。


「核は胸部、心臓の位置だ!全員、集中攻撃だ!」

蓮司と千佳が虚影王の体に攻撃を集中させ、その間に榊原が狙撃銃を構える。息を整え、一瞬の隙を見逃さずに引き金を引く。


弾丸が虚影王の核を貫いた瞬間、巨体が崩れ落ち、ビル全体の妖気が霧散していった。


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ビルは静寂を取り戻し、冥府機関のメンバーたちは戦闘の余韻に包まれていた。だが、黒羽根の女の存在は依然として感じられていた。


「まだ終わっていない。やつを感じる……」

榊原が銃を収めながら呟く。藤堂はチームの無事を確認し、次なる作戦の準備を始める。

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