第31話 ディアボロ討伐③
「ど、どうしよう…誰か、他の人に…」
ウールはもうとてもじゃないが、レーザー砲を撃つことはできない。
ミズナが辺りをキョロキョロと見渡す。
バシリスクはとてもじゃないが、なぜ死んでいないのか不思議なぐらいギリギリで踏ん張っている。
ここにはこれそうもない。
ウールらの元にもまた触手が飛んで来るが、それをマニーシャが斬る。
「とてもじゃないけど、あたしは手一杯だよ!」
触手の数が多くなってきて、いよいよ持って全滅させに来た模様だ。
「だ、誰か、来れませんか!?」
グレースが無線で呼びかけるが、ほとんど返事がない。
「ハァ、ハァ、す、すまねえ、とてもじゃないが、もうこっちもギリギリだ!」
A班のリーダーがそう返事をする。
A班も、もう残り3人。
「ハァ、ハァ、すまない、お嬢様、俺もバンクスも限界だ。」
ミカヅチは尚も激しく攻防している。
「ハァ、ハァ、C班はA班と合流、これをサポート中。D班は全滅…余裕ができたら向かえるけど…」
マリーとマグワイアはA班に合流しているらしいが、ここで会話が途切れる。
みんな限界だ。
「…お前が撃て。もう時間がない。」
ウールがグレースに言う。
「で、でも、私、こんなの撃ったこと…」
「撃ち方は教える。反動があるから、後ろの女、お前と俺で彼女を支えるぞ。そもそも、ノーラグで動く急所を追えるお前が撃ったほうがいいんだ。」
ウールと目が合う。
グレースは、覚悟を決めた。
どのみちやらないと、みんな死ぬ。
「…どうすればいいの?こんな重たいと狙うなんてとてもじゃないけど…」
レーザー砲は三十キロはある。小柄なグレースとミズナでは2人がかりで持ち上げるのがやっとだ。
「ッグ、グゥゥゥ!」
ウールは膝を跪きながら、なんとか折れた腕をサポートにしてレーザー砲の先っぽを自分の肩に乗せる。
「俺の肩を支点にして照準を合わせると良い。一緒に持ち上げるぞ。肩にかけろ。せーの!」
レーザー砲が持ち上がる。
「いいか、その窪んだ部分に照準を合わせるんだ。レーザーはそっちへ飛んでいく。右手にあるハンドルを逆時計回りに捻ると、発射準備が始まる。ビーッと音が鳴ったら、後はトリガーを引くだけだ。」
「分かった!」
「ちょ、ちょっと!そんな先っぽで支えたら、超高熱だわよ!?」
ミズナがウールの後ろから声をかける。
「俺のことは構うな。それよりもその女を、お前が支えるんだ。反動で吹っ飛ぶからな。」
「…な、どうやって!?」
「任せる!早くしろ!」
「んん〜〜!わかったわよ!」
ミズナは後ろからグレースに抱きつく。
「これでいい?」
「はい!ありがとうございます!」
グレースは早速照準を合わせ、ハンドルを捻る。
キュォォォォ…という音と共に、チャージが開始される。
「グワァァァ!!」
無線にまたしても断末魔の叫びが聞こえてくる。誰かがやられた…
しかし、グレースは動じずに、集中して照準を合わせる。
ジュワァァ…とウールの肩が焼け始めるがウールは一言も発さない。
ビーッ!!
音が鳴った。
グレースがトリガーを引くと、一瞬レーザー砲がガタっと震える。
次の瞬間、光の槍がディアボロを貫く。
同時に、グレースとミズナが後ろへ吹っ飛ぶ。
「「キャァァ!」」
レーザー砲が地面に落ちる。
ディアボロ土手っ腹に穴が空いた。
動きが止まる。
「今度こそやったか!?」
ウールが膝をつきながら苦痛の表情でディアボロを見上げる。
「いや!ズレたわ!やってない!あれを見て、あの青いのが急所よ!」
照射直前の振動で照準が数ミリずれてしまったため、急所は外してしまったが、かすっていたようでディアボロはランダムにあちこちに触手を出しながら悶えているような様子だった。
青い急所は、すぐに身体の中へ引っ込んでしまった。
そして、徐々に、レーザー砲で開けた穴が塞がっていく。
直後、全てのディアボロの攻撃が止む。
全ての悪意が、グレース達の元へと集中する。
「まずいわ、こっちを集中的に攻撃してくるみたい!?」
ディアボロの身体から、無数の触手が生えてくる…
第32話「ディアボロ討伐 ④」へと続く
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