第5話 オッドアイの研究者
一人になった部屋で
「まず、俺はムラシマってやつに召喚された」
かなり質の悪い紙だ。
「召喚されたのと体が女になったのに関係は有るのか?」
疑問を書き込み、関係しそうな情報を記憶の中から探す。
気付いたら持っていたペンダントも、何か関係があるのだろうか。
「これでステータスが見れるのはなんでだ?」
疑問は尽きない。
「キャラに指示を出したりできるっぽいけど、操ってるような感じなのかな……」
操作感はタワーディフェンスゲームに似ている。
一時期ハマっていたタワーディフェンスのソシャゲだと、プレイヤーの指示にキャラが従っているという形だった。
となると、キャラからするとそんな感覚なのかもしれない。
「けど、見ず知らずの他人の……しかも泥棒って疑ってたヤツの言う事なんて聞くか?」
紙は少しずつ埋まっていく。
ダウンロード中に設定を思い出せれば疑問は解決するかもしれないが……。
「さすがになんも覚えてねぇ」
椅子にもたれ掛かり、脱力する。
「どーすっかなぁ」
天井を眺めて今後の事を漠然と考え始めた時、扉がノックされた。
「あっ、はい!」
慌てて返事をし、扉の方へと向かう。
扉を開けた先に居たのは
「指揮官様と話したいって人が来てるんだけど……今大丈夫?」
ニコニコと
よく見れば、彼の後ろに誰かが居るようだ。
背の高い男性が体を縮こまらせて希洋に隠れている。
「大丈夫だけど……誰?」
薄緑の髪を右側だけ編み込みにしたハーフアップ。
右目は黄色、左目は緑色のオッドアイの男性……希洋達と同い年くらいの青年だ。
なにか言おうとしているようだが、目を泳がせた後ですぐに希洋の後ろに隠れてしまった。
「えっとね〜、この人は
「
「そうそう、
女扱いはやめていただきたい。
「俺中身男だから、気にしないで?」
(そう言えば、希洋くんには全然マトモな自己紹介してないな……ん? )
希洋の背後から視線を感じる。
見ると、
「……本当かい? 君の中身は、本当に男性なのかい?」
「えっ、うん。そうだよ」
「よし、ならば君は男だ。良いな? 間違っても覆さないでくれたまえよ」
「あっ、はい。大丈夫。俺男」
思っていたよりも身長が高い。
青いシャツの上に白衣という理科の先生のような服装の上に革製のリュックを背負っている。
いかにも理系な見た目だが、体格は体育会系。
第三ボタンまで開けられたシャツの中からは立派な胸筋が見えているし、捲られている袖から見える腕にもかなりの筋肉が付いている。
「では、はじめまして。改めて自己紹介を。私は
先程までの怯えはどこへ行ったのか。
勢い良く喋り始めた優瓜に面食らって、希洋の方を見た。
琉海からの視線に気付いた希洋が少しだけ笑顔を崩すと、苦笑いで肩を竦める。
いつもこんな調子だから気にするな、とでも言っているようだ。
「――という事で、君について色々と調べさせてくれないかい? 悪い様にはしない」
(やっべ、なんも聞いてなかった)
辛うじて何かを調べさせてほしいと言っていた事だけは聞いていた
悪い様にはしない、と言っているし……まぁ大丈夫だろうと軽い気持ちで頷いた。
「本当かい!? ありがとう! では早速で悪いが観察を……いや、まずは話を聞く所からが良いのか?」
ぶつぶつと一人の世界で話し始めた優瓜を横目に、希洋が耳打ちする。
「ごめんね、面倒な事任せちゃって。でも受け入れてくれて良かった〜、
「え……」
「良かった〜指揮官様が気付いてくれて」
ニコニコと笑う希洋。
(えっ、さっきの、“気にするな”じゃなくて“受け入れろ”の合図だった? まずいぞ〜)
「いやぁ、指揮官殿が協力的な方で良かった。召喚された影響について気になる事は多いし、中身が男性というのも――いや、すまないこれは軽率に触れるべき話題ではなかったか?」
「あっいや、大丈夫。召喚された時に体が別人になっちゃっただけだから」
「なるほど。ならば気兼ねなく調べさせていただこう! 着いてきてくれ」
「俺も行くから、行こう」
高い身長のせいか、早足で歩いていく優瓜を追いかけるべきなのか悩む
「わ、分かった」
この先で優瓜の間借りしている部屋に通された
「名前は?」
「
「年齢は」
「15」
「私より2つ下だな。召喚された際に生じた変化は――」
途中でこっそりと逃げ出した
――――character profile――――
――先行きは真っ暗かもしれないが、それでも私は私の道を行く。
なぜって、決まっているだろう?
だって、楽しいだろう! 人生は!
名前:
性別:男
年齢:17
旅する若き天才研究者。
好奇心と知識欲に支配された男。
偏食家である事と女性恐怖症である事以外、他社への弱みを見せる事の無い彼だが――
――――――――――――NEXT――
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