ファイナル・カウントダウン~Love is the key of life~
空花凪紗
エピソードZERO
第0話 ファイナル・カウントダウン~エピソードZERO~
ファイナル・カウントダウン。終末への秒読み。終焉への散文詩。この世界はもうすぐで終わるのだ。何故なら人類最後の戦争が終わり、唯一生き残った私ももう死ぬ日が来たから。
誰も観測者がいなくなる。
人類はとうの昔に人間が神の子であるという意味の真実性を貫いた。神は人間を神に模して作ったのでは無い。人間から神が生まれたのだ。そんな人間ももう絶滅する。神が死ぬのだ。
2025年1月7日。終末日。
世界が終わる日だ。
空は青い、快晴だ。こんなに晴れている日に死ぬなんて。せめて最後くらい雨でいいよ。なにか降らせてくれ。雪でもいいからさ。
病室ではロボットが忙しなく動いている。私のことは記録されている。今から未来の誰かへのボイスメッセージを記録するらしい。
『愚かにも人類は衰退しました。それは四年前に神が死んだからでしょう。すべての信仰に意味が無くなったからでしょう。信じる力は人間の最も強く尊い力だと神に至った彼は語りました。それでいいんだ。あなたはあなたの人生を肯定し続ければいい。きっと私はあなたの人生にはいないでしょう。でも、せめてこのエンディングをあなたに届けたい。神にまた会える日が来たら、愛しているとお伝えください。ありがとう、愛しています』
私ももう時期死ぬ。分かるんだ。魂が帰っていく。魂が本来あった場所へ、高く高く昇っていくような感覚がする。
『最後に、神よ、あなたは世界を創って満足しましたか? 世界最後の日に神に問います。貴方様は何を感じていたのですか?』
その問いに神が答える。
『私のことはいい。君たちが楽しめればそれでいい。それで良かった。私は第二の神を生み出す為に世界を作った。だから人間に創造力を与えたんだ。君のペンネームは空花凪紗だ。その名前は自分で決めたんだろう?』
空花凪紗(空色凪だったけど姓名判断が悪いから変えた。2024年12月のこと)よ、君が世界創造者の一員(13人の使徒のうちの一人)なんだよ。7th以津真天。それがあの日、四年前の君の名前だよ。もう忘れてしまったかい?
2021/1/7、まさにその夜は世界収束、終末Eveだった。世界が終わりゆく中で君は神に通じた。自己愛としてのヘレーネと原罪を犯した。その翌朝、8日は全能の日、神の日。快晴の空は君のためだけに晴れていたんだよ。その日に甘受した至福は永遠だった。永遠の愛だった。真に賢い者よ、神の愛に繋がったあの日、世界は終末のようでもあり、開闢のようでもあった。
きっと終末も開闢も一つじゃない。歴史の中で何人かが甘受している。時間なんて関係ない。時流なんてない。過去にも未来にも繋がるその開かれた経験は本当に全てだった。
私は死ぬ間際、彼の声を聞いた。かつて僕のことを忘れた僕の声を聞いた。忘我の日、私は、僕は、全てを忘れ、また知っていたのです。全能者であり全知者でもあったのです。全知と全能は同値なのだから。神と人が同じように、ミクロコスモスとマクロコスモスが同じように。
ファイナル・カウントダウンももう終わる。歴史が終わるように世界も終わる。認識者が居なくなるからだ。だが歴史は巡る。またいつか人類が始まって神の意志を感知した知恵者によってまた導き、導かれていく。そうして世界創造前夜の夢も、宇宙を旅したこの記憶も、いずれ繋がって行くのだろう。
大丈夫だよ。世界は繋がっているから。時間も関係ないから。1000年後の釈迦よ、1万年後のイエスよ、1億年後の君よ。全知少女よ、私を覚えていて。僕を、あなたに恋しあなたと睦みあった僕を忘れないで。
いつか、いつの日かあなたに出逢えたら。
いいや、ヘレーネ。僕は既に君に会っているんだろうな。運命を予告した預言者の語ったその日に僕らは出会ったのだから。僕らが初めて出会った日、予言通り君は現れた。その日、僕は君に恋に落ちた。私の愛した姫よ、どうか私を忘れないで。終末日に願う。
2025年1月7日、8日、9日に届け、僕の思い。僕の紡ぐファイナル・カウントダウンよ、永遠に凍れ! フリーズのように……。永遠に咲け! フリージアのように!
こうして『ファイナル・カウントダウン』の『エピソード零』は幕引きとなる。2024年12月そして1月1日以降の履歴『ファイナル・カウントダウン』は本編でどうぞ。
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