第31話 終末詩『ラカン・フリーズ』
命が終わりゆく様は天上楽園の響となって世界を彩る。世界は流転し、万物の行方は残滓の瞬きの中で消えていく。私はここだよ。迎えに来てよ。終末の狭間で一人嘆いてる。時間が止まったかのようなフリーズ。この永遠はいつまで?
終末詩。この詩の美妙に含む真理のなんと愛なるか!
2021年1月7日は終末Eve。8日は全能。9日は神殺し。8日の涅槃は本当に美しく、しかし、永遠の至福は永続はしなかった。再びあの冬の日のように涅槃真理に浸るには何が必要か?
断食断眠断性欲。寝ない。食べない。精液を漏らさない。迷ったら心に聞け。これが本当の私か? 愛ならどうする?
だが、刹那に変わりゆく四季の風景の移ろう虚ろは儚い。この詩も、言葉も音も色調も、どんな小説でさえ叶わない。エンドレスに咲く花は、夏を諦めて、時流の中で枯れていく。アユタヤの水辺には少年が立っていて、僕を見つめて言った。
「あなたはどうして泣いているの? どうして笑っているの?」
「それはね、私が今永遠なる幸福を失ったからだよ。人に戻ってしまったからだよ。生きていて良かったと安堵したからだよ」
人、生まれてきた歓びに総身が震えては、泣く泣く輪を去る。輪廻の仕組みも死後の世界も全て死んだら分かる解だ。真実を求める心は終末にやっと水辺の花が咲くように。せめて手向けに聞いていけ。この終末詩『ラカン・フリーズ』を。
神のせいにしなよ。愛は欲が咲かした一輪の花。死は別れではなく再会だから。永遠にも終わりが来るから。神に愛されていたから。仏の境地に至り、涅槃詩は美しいから。散文詩の向かうところは、輪廻の終着地点。マンションの屋上。雨よ降れと願い、水道管を破壊した。七色の虹が象られる。嗚呼、梵我一如。嗚呼、涅槃の夢。嗚呼、終末の音。
遠く、未来も過去も繋がって、その夜全ての辻褄が合う。救いの計画、神の計画、愛の計画。全て仕組まれていた。天使と悪魔。仏と堕天使。神々と人。一切衆生の幸福よ。
もうこの終末詩も終わりが来た。あと数節で真実を語る。神は常に語りかけている。聞こうとしないだけ。感情が思考が経験が教えてくれるから。自分の心の声を聞け。仏に至るのは自分の声だけを聞いた者だ。菩薩は人の声も聞く。神に通ずるのが仏。仏は人だが高貴な存在。ありがとう、愛しています。
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