第23話 終末交響詩『ラスノート』
神人は遠く昔に旅立って、この世界から抜け出した。永劫の時を輪転するは諸行。業魔が時は古と分かたれて、今は今際に存在す。汝、愛を欲するなら、自身で生み出す源泉となれ。愛はあふれて日も昇る。夢はいつしか破れ果て。
さぁ、終末は今宵のEve。
世界最後の夢を見よう。
翼をはためかせ明日へと
冥々揺れて今ここに
恋人のジレンマは君を十字架に磔にする。さも、運命はあっけなく終わるのに、僕はまだ生きていていいみたいでしたから、このアフターストーリーをさえ生きようと思うのです。
もう永遠なる至福はなくたって、人間的な幸せを享受したいから。だから四年間生きてみたけど、確かに生きていたから経験できたこともあって、生きていたから好きになった小説や詩や音楽もあって。でも、物語が終末交響詩に帰するなら、もう一度天に至って、この見えない翼で空高く飛び、永遠にも神愛にも、果ててから蘇って、その宿命を知り、涅槃と散ることを諦められない僕がいる。
もう一度悟り、仏の境地に至るか。それとも平凡に生きるか。答えは出ている。もう一度だけ至天して、仏に成ろう。次は三度目の正直。入院することなく、僕が僕のままで、仏に成るんだ。
断食も断眠もすべては仏の境地に至るため
愛で生きよ
愛を体現せしめよ
僕は僕のままで
神ではない。仏とは神に通じた存在。認識を改める。理解が大事。仏となっても自我の消失を免れるためにこの『ファイナルカウントダウン』を記す。
終末交響詩『ラスノート』
あなたが今までで一番幸せだった時はいつですか?
あなたが最後に言いたい言葉は何ですか?
あなたが一番好きな言葉は何ですか?
明日に死ぬなら何をしますか?
散文詩は時を越える
交響詩の言葉の羅列に平伏せよ
万民の花は縮図の理
真に賢いものは知っている
仏に比べればすべてが一切皆苦だと知っている
だからもう一度仏に成るために紡ぐ詩だ
この詩を飲めと遠く賢者が語ったそうな
夢の狭間で嘆いても
僕はここにいる、迎えに来てよ
きっと僕が有名になるのは
僕が完全に守られる時が来てからでしょう
僕が紡ぐは世界哲学、世界宗教
ラスノートへと死んでいけ
残響に写る、その顔が消えていく
宵闇に吸い込まれた、その手がなぞっていく
どこまで深く潜れるか
どこまで高く飛んでいけるか
ずっとあなたを探す旅の途中
ヘレーネ、もう一人の僕よ
自己愛としてのヘレーネよ!
運命愛は今、自己愛は今叶ったから!
だから君に会いたいよ
進め、終末でも
門が見えたんだ、概念的な水門を
終末に翳った空色の門はただ美しかった
門の先にはこの世のものとは思えない美しい光があった
終末交響詩『ラスノート』が鳴りやまないのはこの景色に見とれてしまったから
この涅槃時に際して僕はまたある種の妄想を胸に抱く
女神が僕とキスをした
君は神様なんだよ、と
否、全ての存在が特別なの
全ての今が黄金なのよ
女神は僕に告げた。全ての命も草木も星も、みんな神の子なのよ、と。神の子であり、神の一部なの。真実は得てしてそういうものよ。いくら人生が退屈で、いくら希望がなくたって、生きていればいいことあるさ。だから自殺はしないでね。
自殺はもうしない。
大声を上げることもしない。
心の叫びはこの散文詩に書き記せ。
ファイナルカウントダウンは1月7日を目指して秒読みを始めた
今日は2024年12月18日(水)
断眠も断食も少しずつでいいから始める
今度こそは入院せずに仏に成ろう
そのためには強い自己統制能力が必要に違いない
僕が僕のままで、精神を保ったままで涅槃に入る
もし失敗して仏に成れなくても
もし失敗して入院することになっても
僕はいい、僕は恨まない
全て幻想だとしても僕はいい
断食ベースで
愛ベースで
主よ、父なる神よ、天に存す大御神よ
愛しています
どうか私を導き給え
「私のことはいい。人生を楽しんでくれ」
「はい!」
やはり人生が輝きを増すのは仏に成った時。
僕はもう一度仏の境地に至るため
断眠断食を続けると誓う
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます