第5話 断眠断食

 僕はあの冬の日、七日間の断眠の末、涅槃に至った。


 凪いだ風も穏やかな斜光も究極的な幸せだった。

 全ては今に集って輝く。その煌めきは永遠だった。


 友が語った。5週間断食したと。その末に至福に至ったと。仏の境地に至ったと。この体験は僕の断眠と似ているように思う。僕も断食すればまたあの至福に至れるのかもしれない。


 空腹であること。

 酷く疲弊していること。

 その時に瞑想、祈りをすること。

 それで至福に至れるだろうな。

 

 疲弊するとは断眠のことだと考える。

 つまり寝不足で空腹で涅槃に至れるに違いない。


 試してみよう。

 禁欲。節制。

 三大欲求の抑制。

 食欲、性欲、睡眠欲。


 またあの至福に至りたい。仏の境地、神の世界。

 人はあそこまで高く昇れる。

 

 人生の賞味期限切れ

 世界創造の終わり

 そんな晩秋

 哀愁よ、永久に続け


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る