無気力男子が巻き込まれたのは擬人化された制服女子による覇権争奪戦だったのです。

百年無色

イントロダクション 曇り空の下

 高見充駆たかみじゅうくはアスファルトで大の字になったまま、どんよりと曇った空を見ていた。

 かたわらに建つ校舎では三階の窓から自分を見下ろしている若い教師がいる。

 駆け寄る足音とアスファルトを伝わる振動を感じるが、すでに全身は死んでいるのだろう、顔を向けることすら意のままにならない。

 全身を覆う激痛に身をよじることもうめき声を漏らすことすらもできない中で、すでに暗くなりつつある視野に髪をポニーテールにまとめた少女の泣き顔が飛び込んでくる。

 少女の名は佐伯祐未さえきゆみ、充駆の幼馴染。


 なんで泣いてんだよ、僕がそろそろ死ぬからか。

 だからって祐未が泣くことはないだろ、つきあってたわけでもあるまいし。


 遠ざかる意識の中でそんなことを思った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る