第50話 おわりに――それでも私は私
「子供のまま、大人になってしまいました」と、自分の生きづらさをテーマにして50話を書き続けてきた。この旅のような執筆は、私自身と向き合い、自分を見つめ直す時間だった。
このエッセイを書き始めたころ、私はまだ自分の「生きづらさ」を否定しようとしていた。周囲と同じように振る舞えないこと、些細なことで心が揺れること、社会の中でうまく立ち回れないこと――それらを「ダメな自分」と決めつけていた。
でも、エッセイを書く中で少しずつ気づいたことがある。それは、「生きづらさ」そのものが、私の個性であり、私を形作る大切な要素でもあるということだ。
たとえば、感情が豊かすぎて悩むこともあるけれど、その感受性があるからこそ、物事の美しさや他人の痛みに気づける。そして、社会に馴染めない自分に苦しむこともあるけれど、それは「自分らしい居場所を探し続ける力」を与えてくれる。
この50話を通じて、私は少しずつ「それでも私は私でいいんだ」と思えるようになった。完璧でなくても、不器用でも、揺れ動く心を持っていても、それが私の生き方であり、私の人生の物語なのだ。
もちろん、これからも悩むことや迷うことはたくさんあるだろう。自分に失望する日もあるかもしれない。それでも、「自分の心を否定せず、受け入れる」ことを忘れないようにしたい。そして、自分に優しく寄り添いながら、一歩ずつ進んでいきたい。
私たちは、皆それぞれの形で「生きづらさ」を抱えている。それを完全に消すことは難しいけれど、その中で自分らしい生き方を見つけていくことができる。それが、このエッセイを書きながら得た、私の小さな答えだ。
最後に、このエッセイを読んでくれたすべての人に伝えたい。
どんなに揺れる心を持っていても、どんなに不器用でも、それがあなたの人生を豊かにする力になる。だから、どうか自分を否定せず、受け入れてあげてほしい。
「子供のまま、大人になってしまいました」
それは、私の生き方の一つの形。そして、私がこれからも大切にしていきたいものだ。
これで、私の50話の旅はひとまず終わる。でも、新しい旅はいつでも始められる。これからも、自分らしく生きていくための一歩を、共に踏み出していこうと思う。
それでは、またどこかで。
子供のまま、大人になってしまいました。 星咲 紗和(ほしざき さわ) @bosanezaki92
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