第44話 「子供でよかった」と思える瞬間
「いつまでも子供みたいだね」
そんなふうに言われることが、私には時々ある。それはどちらかというと批判的な意味で使われることが多いけれど、不思議とその言葉に傷つくことはない。むしろ、私は「子供でよかった」と思える瞬間がたくさんあるからだ。
たとえば、何かに夢中になるとき。大人になると、どうしても効率や結果を重視しがちだ。でも、私は時々その枠を忘れ、子供のように「ただ楽しいから」という理由で何かに没頭することがある。それは、本を読むことでも、手作りのものを作ることでも、小さな探検をすることでもいい。その時間は、結果を気にせず純粋に楽しめる特別なひとときだ。
また、子供のような純粋さで感動できる瞬間も、私にとって大切なものだ。たとえば、雨上がりの空に大きな虹を見つけたときや、街角で咲いている季節外れの花を見つけたとき。その美しさに心が震える瞬間は、大人になったからこそ得られる特別な感覚でもある。
さらに、子供らしい感性で人とのつながりを感じるときもある。難しい言葉を使わなくても、ちょっとした笑顔や気遣いで「ありがとう」と言われたとき、そこに生まれる温かさは子供の頃のような素直な喜びに似ている。
もちろん、「子供っぽい」と言われることがコンプレックスになることもあった。「もっと大人らしく振る舞わなければ」と自分を変えようとしたこともある。でも、大人らしさを追求する中で気づいたのは、子供の感性を持ち続けることが、私にとっての「らしさ」だということだ。
子供でいることは、決して幼稚であることではない。それは、好奇心や感動、純粋な喜びを忘れないこと。そして、その感覚があるからこそ、私の人生はもっと豊かになるのだと思う。
これからも、子供のような心を持ち続けながら生きていきたい。大人の責任を果たしつつ、その中に純粋な感覚や遊び心を織り交ぜていくことで、もっと自由で楽しい人生を描いていけるはずだ。
「子供でよかった」と思える瞬間を、これからも増やしていきたい。私たちの中にある子供の心は、人生を彩る大切な宝物だから。
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