第42話 失敗しても笑える日が来る
「失敗した……」
そんな瞬間は、いつも私にとって重くのしかかるものだった。大人になればなるほど、失敗は許されない、失敗は恥ずかしい、そんな思いが強くなっていった気がする。
でも最近、ようやく少しずつわかってきたことがある。それは、失敗は必ずしも悪いものではないということ。むしろ、失敗があるからこそ成長できるし、後で振り返ったときに笑えるようになることもあるのだと。
先日、私は仕事で大きなミスをしてしまった。データを間違えて入力してしまい、プロジェクトの進行に影響を与えてしまったのだ。そのときは頭が真っ白になり、「なんでこんな初歩的なミスをしてしまったんだろう」と自分を責めるばかりだった。
同僚や上司に謝罪し、なんとか修正に取り組む中で、心の中には不安と後悔しかなかった。だけど、時間が経つにつれて、少しずつ気持ちが変わっていった。
そのきっかけは、同僚が私にこう言ってくれたことだ。
「誰でもミスはするよ。でも、すぐに気づいて対処したから、大きな問題にならなかった。次に活かせばいいんだよ」
その言葉を聞いて、私は少しだけ気持ちが軽くなった。そして、これまで自分が失敗したときのことを振り返ってみた。どれもその瞬間は辛かったけれど、振り返ってみると、その失敗が新しい学びや成長につながっていたことがわかった。
たとえば、学生時代にプレゼンで緊張して声が震えたこと。それ以来、人前で話すのが怖くなったけれど、その経験があったからこそ、今では話し方を工夫するようになり、少しずつ自信を持てるようになった。
また、友人関係での誤解やすれ違いも、当時は大きな失敗に思えた。でも、その経験を通じて、自分の気持ちを伝える大切さを学び、人間関係を築く力がついたと思う。
失敗は、その瞬間だけを見ると苦しいけれど、時間が経てば「笑い話」に変わることが多い。それは、私たちがその失敗を受け入れ、それを糧にして成長しているからだろう。
これからも、失敗することはあると思う。でも、そのたびに「これも後で笑える日が来る」と自分に言い聞かせたい。そして、その失敗を通じて学び、少しずつ前に進んでいければいい。
失敗しても笑える日が来る――そう信じることで、私たちはもっと気楽に挑戦できるし、より自由に自分を表現できるのだと思う。
失敗を恐れずに、今日も一歩を踏み出そう。そして、いつかその一歩が「良い思い出」になる日を楽しみに待ちたいと思う。
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