第25話 誰かに褒められる喜び

「よくやったね」「頑張ったね」

そんな言葉をかけてもらえる瞬間は、子供の頃から大好きだった。誰かに認められるということが、私にとって特別な意味を持っていたのだと思う。


大人になると、褒められる機会は少なくなる。仕事をしていても、「それが当たり前」とされることが多く、誰かに評価されることが減っていく。でも、そんな中でもたまに褒められると、子供の頃のように心が嬉しさでいっぱいになる。


先日、小さなプロジェクトを成功させたときのこと。そのプロジェクトは、私にとって挑戦の連続だった。普段あまり得意ではないプレゼンの準備に苦労し、何度も修正を重ねた。途中で何度も「もう無理かもしれない」と思ったけれど、なんとか最後までやり遂げることができた。


その結果を上司や同僚が褒めてくれたとき、私は涙が出そうなくらい嬉しかった。それは単なる結果への評価ではなく、自分の努力を見ていてくれたという安心感から来るものだった。誰かに褒められるということは、ただ「良かったね」と言われる以上に、自分の存在を肯定されるような気がするのだ。


子供の頃は、褒められることで自信を育てていく。それは大人になっても変わらないのかもしれない。むしろ、大人になると責任やプレッシャーが増える分、小さな褒め言葉が心の支えになることが多い。


ただ、最近気づいたことがある。誰かに褒められることだけが喜びではないということだ。自分自身で「よく頑張った」と認めることも、大切な褒める行為の一つなのだ。


たとえば、疲れていても仕事を終わらせた日や、小さな目標を達成した日。「今日はよくやったね」と自分に声をかけるだけで、不思議と気持ちが軽くなる。誰かに評価されるのを待つのではなく、自分自身を褒めることで、心の中に小さな喜びを作ることができるのだ。


誰かに褒められる喜びは、心を満たしてくれる。そして、自分を褒めることは、自分を肯定するための大切な習慣だ。


これからも、褒められることを素直に受け止め、自分自身を褒めることも忘れないようにしたい。そうすることで、日々の中にもっと多くの喜びを見つけられる気がするから。


褒められることは、子供だけの特権ではない。それは、大人にとっても大切なエネルギー源なのだと思う。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る