第23話 心は子供、体は大人
鏡を見るたびに思うことがある。「本当にこれが私なんだろうか?」と。
大人の体つき、落ち着いた服装、周囲の空気を読みながら生きている自分。それが見た目の「私」だ。でも、心の中を覗けば、そこには大人らしい理性だけではなく、どこか子供のような感情が根付いている。
たとえば、悔しいことがあれば涙が出るし、嬉しいことがあれば心が飛び跳ねる。理不尽な出来事にはとことん怒り、好奇心をくすぐられるとまっすぐに突き進んでしまう。そういう「子供っぽさ」が自分の中にまだあるのだ。
でも、社会では「大人であること」が求められる。仕事では冷静でいること、感情をコントロールすること、合理的に行動すること――そうした振る舞いが期待されるたびに、自分の中の「子供らしさ」を抑えなければいけない気がしてしまう。
心は子供、体は大人。このギャップは、時に生きづらさを生む。でも同時に、それが私を私らしくしているのだとも思う。
子供の心を持ち続けているからこそ、感動することが多い。たとえば、美しい景色に出会ったとき、子供の頃のように無邪気に感動する自分がいる。新しいことに挑戦するときのドキドキ感も、きっとその「子供らしさ」から来ているのだろう。
もちろん、大人の体と理性があるからこそ、子供の感情をうまく扱える部分もある。子供の頃ならただ泣いて終わってしまうことでも、大人としての経験や知識を使って乗り越える力を持っている。
この「心と体のギャップ」を受け入れるのには、少し時間がかかった。でも、今ではそれが私の個性であり、強みでもあると思えるようになった。
心が子供のままでいることは、悪いことではない。それは感性が豊かで、柔軟で、純粋であるということだ。そして、大人の体や経験を持つことで、その感性をより深く活かすことができる。
これからも私は、「心は子供、体は大人」という自分を受け入れながら生きていきたい。時に子供のように笑い、泣き、夢中になりながら、大人としての責任を果たすこと。そのバランスを楽しみながら、自分らしい人生を歩んでいこうと思う。
心の年齢に縛られる必要はない。私たちは、自分の中にある「大人」と「子供」を自由に行き来しながら生きていいのだと思う。
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