子供のまま、大人になってしまいました。
星咲 紗和(ほしざき さわ)
第1話 はじめに――子供のままの心
大人とは何だろう。子供とは何だろう。
その問いを考えたとき、私の中で答えは見つからない。なぜなら、私はいつも「大人になったつもり」の自分と、「子供のままの心」を持つ自分の間で揺れているからだ。
たとえば、電車の中で理不尽な割り込みをされると、瞬間的に腹が立ち、心の中で小さく怒鳴り声を上げる。けれど、それを表に出せない自分がいて、代わりに涙が滲む。
「大人なら冷静に対応しなさい」と言われるかもしれない。けれど、理不尽さに対して涙が出るのは、子供っぽい感性なのだろうか。私はただ、自分の正直な感情が表に出ているだけだと思うのだ。
それでも、周囲の目を意識して「大人らしく」振る舞う努力をしてしまう。社会の中では、感情を素直に表現することは「未熟」と見なされることが多い。だから私は、「大人になれない自分」をいつも隠しながら生きてきた。
でも、ふと思う。大人になるとは、本当に感情を押し殺すことなのだろうか? 怒ることも泣くことも「未熟」として片付けられるのなら、それはあまりにも窮屈な話だ。むしろ、自分の感情に正直でいることは、人間として大切なことではないのだろうか。
私の心はいつも揺れている。怒り、悲しみ、喜び、驚き……どれもが激しい。子供のように素直すぎる心と、それを隠さなければいけない大人の世界の狭間で、私はどう生きればいいのだろう。
このエッセイは、そんな「子供のままの心」を持つ自分と向き合いながら綴る50の物語だ。
私と同じように生きづらさを抱える誰かが、この文章に少しでも共感し、自分を許せるきっかけになれば嬉しい。
これは、私の生き方の記録であり、「私自身」を見つけるための旅でもある。
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