2024年11月23日(土) 17:23

僕は手紙を握りしめて走り出した。

彼女が未来を見れることを薄々感じてはいたが、この手紙ではっきりした。

その彼女はもう、ここにはいない。


僕はスーパーに飛び込んで急いで買い物をした。

買い物袋を下げたままトイレの個室に入って目を閉じた。

手紙を額に当てて、強く強く彼女のことを思った。


彼女には隠していたが、僕はほんの少しのだけ過去に行くことができる。

彼女の好きな映画を言い当てたり、忘れていた記念日のプレゼントを渡したこともあった。

ずるいことをして悪かった。でも、これで最後にするから許して欲しい。


目を開けると僕は家のキッチンにいた。

野菜と肉を茹でている鍋が目の前にある。懐かしい匂いに涙が出そうになる。

リビングのテーブルに座っている彼女の背中を見る。

僕は、スーパーの袋からシチューのルーを取り出して鍋に投げ入れた。

鍋の横に置かれていたカレールーを手に取った瞬間、僕はスーパーのトイレにいた。


急いで家に戻ると、彼女がそこにいた。

カレールーの入った買い物袋を持ったまま、彼女を抱きしめた。

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