オカルト考察系動画配信者、仲島勇水の主観 3
「………」
僕――仲島勇水が検索し、編纂したとあるネット掲示板の書き込み群達の中で、今回最も気になったのは■002 (◉ ‿ ◉)(29)だった。
内容自体は短くシンプル……というより、要領を得ない部分が多い。
スレッドは、スレ主の住む家に(◉ ‿ ◉)がいる、どうすればいいか、という書き込みから開始している。
スレ主が(◉ ‿ ◉)の正体を一向に語らないため、何が起こっているのか他の住人達も苛立ちを見せている。
その後、スレ主が五枚の写真を添付する事により、(◉ ‿ ◉)の正体が判明した。
いや、正体が判明というか……この画像はまだデータが生きていたため、自分も見る事ができた。
実際に見た僕の言葉で言い表すなら、それは本当に(◉ ‿ ◉)という顔文字だった。
家の廊下に、おそらく画像加工機能か合成により(◉ ‿ ◉)という顔文字を貼り付けただけの写真だった。
一枚目から四枚目は、この(◉ ‿ ◉)が徐々に写真を撮影するスレ主へと接近してくるように加工されたもの。
それを見て、他の住人達はノリで盛り上がったり、しょうもないと落胆している者もいた。
しかし最後、五枚目の写真だけは異質なものだった。
暗闇の中、開かれた口と歯のようなものが映った写真が投稿された。
突然の、ある種ブラクラ的不意打ちを食らい困惑する住人達を残し、スレッドはdat落ちしたようだった。
瞬間的に現れた、フェイクホラー風味のスレッド……これだけ見るとそう思える。
しかし、その約一年後に建てられた■009 (◉ ‿ ◉)の正体について考察するスレ(87)を発見した事により、事態は一変する。
1:祠の中にいる名無しさん 2022/06/18 21:36
(◉ ‿ ◉)とは一体何だったのか考察するスレです
覚えてる人いる?
■002 (◉ ‿ ◉)(29)をリアルタイムで見ていたというスレ主が、気になる事があるといってこの考察スレを建てたようだ。
その気になる事というのが……
25:スレ主 2022/06/18 23:05
ごめん、誰もいないのか……誰かいたら話がしたかったんだけど
いや、俺が聞きたかったのはさ
俺がリアルタイムで見てた時、このスレに投稿されてた写真ってこんなのじゃなかったんだよ
別の写真だったはずなんだ
32:スレ主 2022/06/18 23:18
この過去ログの写真だと、廊下に顔文字が浮かんでる合成されたみたいな写真じゃん
俺が見た時は、確か、こんな顔文字なんて写ってなかった
ただの廊下の写真だったはずなんだよ
だから、他の奴等があたかも(◉ ‿ ◉)が見えてるようにレスしてるの見て「あ、そういうノリか」って思った記憶がある
ちなみに、過去ログの20が俺
「………」
このスレ主曰く、リアルタイムで見ていた時と写真が違うというのだ。
スレ主の記憶では、一枚目から四枚目は何も映っていない廊下、五枚目は真っ黒な写真だったそうだ。
見る人間により、見えるものが変わる写真なのだろうか?
そんな話が交わされている最中、遂に、スレ主以外で■002 (◉ ‿ ◉)(29)をリアルタイムで見ていたという者が現れる。
54:四十四 2022/06/19 00:02
コテ付けました
≫51
すいません、まったく別物です
私が見た時には、廊下に立つ女の人が写ってました
背が高くてボロボロの服を着て、髪もくしゃくしゃで
(◉ ‿ ◉)っていう顔文字みたいに、両目の黒目が異常に大きくて、口元が笑ってる女の人
その人が、二枚目、三枚目、四枚目って、どんどん近付いてきて……
……この四十四というコテハンの人物は、写真の中に女が映っていたと言っている。
一見(◉ ‿ ◉)という顔文字に似た、黒目が異常に大きい口元が笑った女が。
そう予備知識を得て再度添付画像を見てみると、確かに恐ろしく思えてくる。
果たして五枚目は?
しかし、この四十四が五枚目の写真に言及する事は無かった。
四十四はこの後、二つの書き込みだけを残し失踪。
追加の情報は得られず、このスレはdat落ちする事になる。
それが、下の二つだ。
94:四十四 2022/06/19 01:57
ヨジリサマ
116:四十四 2022/06/19 03:51
ハナシカケテいけない
「………」
ヨジリサマ。
■006 団地暮らしが語り合うスレ(62)、及び■007 ヨジリ様ってどこに行っちゃったの?(3)に登場した怪異。
まさか、(◉ ‿ ◉)とはヨジリサマのことだったのか?
ヨジリサマという怪異は、想定であるが、話し掛けた人間……ヨジリサマを認知し意識を向けた人間に付いて行くという習性を持っていると思われる。
ならば、■002 (◉ ‿ ◉)(29)の投稿主は……。
そして、■009 (◉ ‿ ◉)の正体について考察するスレ(87)の四十四は、どうなってしまったのだろうか。
(◉ ‿ ◉)に魅入られてしまった、という可能性も十分に考えられる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます