謎夢少女、真ノ怪奇。(第九話)

田中さんは私の疑いに続いてこう言った。


「捜査が打ち切りになってからおよそ一週間ほど経った日だった。当時捜査を進めていた警察官一人が突然死したんだ。死体に外傷はなくて、全く事件性がなかったことから死因は心不全になったんだ。その警察官とは何回か話したことがあってな。全く病気をしとるような奴じゃなかったし、風邪も引かないような奴だった。急に心不全ってのは不自然だと思わんかね。でも私はそこまで気に留めてなかった。だがな、その警察官を筆頭に、捜査に関わった警察官のほとんどが突然死したんだ。しかも一週間も経たぬ内に。急いで捜査が進められた。亡くなった警察官が前日、またはその前から何処で何をしていたのか、細かく捜査した。しかし、それらしき証拠が全く見つからなかった。唯一、亡くなった警察官に共通していたことが、あの事件の捜査をしていた、ということなんだ、、、、。なんだか、嘘っぽいだろう、。すまなかったな、こんな話であなたの時間を使ってしまって。」


「い、いえ、、そ、そんなことはないです、。」


私は驚きを隠せなかった。


まさに映画や小説に出てくるような、そんな話だった。


私は、


「田中さんは、この不審な死をどう捉えているんですか?」


と聞くと田中さんはこう言った。


「、、、、呪いだ、。決定的証拠があるわけではない。ただ、この不審な死を説明できるのは、呪い、、しかないんだ。」


田中さんの目は現実を背けるような、そんな目をしていた。


「茜さん、君は何か不思議な力を持っている。あの事件を夢で体験するというのは普通考えられない。この事件を解決するきっかけになるかもしれない。頼む、この呪いを解いておくれ、。頼む、。」


私は躊躇った。


呪いを解けと、?


この50年間、誰一人と解決できなかったこの事件を、?


しかも決定的証拠があるわけでもない事を。


しかし、田中さんは本気だった。


その本気には理由があった。


後々聞いた話だが、田中さんの奥さんは当時数少ない女性警察官だったそう。


しかし、あの事件の捜査に関わっていたらしく、奥さんを不審な死を遂げたらしい。


そのため、より一層、誰よりも事件を一刻も早く解決してほしいという気持ちが強かったのだ。


私は田中さんの要望を受け入れた。


これからどんな展開になるかなんてわからない。


はっきり言って恐ろしいし、逃げ出したい。


けど、私には解かなければいけない、田中さんに懇願され、それを受け入れた私には責任がある。


帰り道、例の古民家を遠目に見た。


ほんの気持ちだが、いつも以上に雰囲気が重く、とても怪しげな、まさに呪われた家のように感じた。


第二章 完。

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