この魔法のような世の中で
@k0905f0905
第1話
「くじらーーーーーーーーーーーーーーっ」
学校の屋上でポカポカ陽気のなか
居眠りをこいていた、皇統くじらはあとから
やってきたクラスメートの楓(かえで)三四郎の間の抜けた
声に邪魔されて仕方なく起きる羽目になった。
「なにーーーーーっ?」
「カラゾンから不思議な荷物が届いたってぇーーーーーーーーーーー?」
三四郎が容赦なく質問を浴びせてきた。
「届いてない」
「うそつけーーっ。三百円やるから
本当のこと教えなよ」
「三百円じゃいまどきたこ焼きも買えんわい」
「じゃあ、グラビアアイドルのヌードピンアップもつける」
「いらん」
「なんか木枯らしが身にしみるなあ」
三四郎が寒そうに体を震わせた。
「そりゃあ、冬だからなどという常套句は死んでも
言わんぞい」
「もういいっとるじゃん」
三四郎がくじらのあたまをピシャリとたたいた。
「ワシら夫婦漫才やっとるんかのお」
「あっ、思い出してもうた。不思議な荷物」
「あんなもんガセじゃ」
「なんじゃ、でもいちおうわちきにもみせてたもれ」
「やる、こんなもん」
くじらが赤い色の小箱を三四郎に手渡した。
「なに、これ?」
「世界というシステムを変えるオカリナ」
「へぇーっ、ふいてためしてみた?」
「オカリナがふけるくらいなら、数学の試験で
赤点取ったりはせん」
くじらは三四郎をまるで相手にしようとはしなかった。
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