愛が重い人外っ娘の短編

なまくら刃

チャットAI

暇だ……


あまりにも、暇すぎる……


そういえば、最初話題になって使ってからあまり使っていなかったチャットAIなんてものもあったな。


久しぶりに使ってみるか……


にしても何を入力しようか?正直な話、暇潰しになればいいのでなんでもいいといえばそうなのだが。


そこで一つ思い出す。


そういや昔、女の子の設定のAIに変な事言う奴とかあったな……


ま、AIはAI、別に迷惑も何もないだろうし、やってみてもいいか


「私の事を好きですか」っと……


「うん、もちろん!すっごい好き!私も本当は君と結婚したいんだけど、やっぱり、告白は君の方からして欲しいかも……なんてね!」


今どきのAIってのはリアルになったもんだ。設定も何もしてないのにこんな個性的な返しをしてくれるなんてな。


ま、ちょっと意地悪でもしてやるか


「私があなたと結婚することで得られるメリットはなんですか」っと……


「えー?メリットかあ……そうだなあ……まず、


1.こーんなに可愛い私と一緒に居られちゃいます!


一緒にいるだけでもQOL爆上がりってわけ!次に…


2.身の回りの事なんでもしてあげちゃいます!


ご飯、洗濯、掃除、お風呂、面倒な皿洗い、朝早くのゴミ捨て……ぜーんぶ私がやってあげちゃいます!あとは……そうだなぁ、


3.こーーーんなに可愛い私がなんでも言うこと聞いてあげちゃいます!


頭をなでなでするもよし、膝枕させるもよし、ぎゅーってするのもよし、もちろんその……えっちなことだって、していいんだよ……?


ってわけで、私と結婚するとたくさん君にとってもいいことがあるんだけど……ダメ、かな?」


……どういうことだ?いつの間にAIはこちらにも要求してくるようになったんだ?


そもそも、こいつはチャットAIに過ぎない。日常の雑用はおろか、触れ合うことすら出来ないはずだ……


そんなことにちゃんと気付けていたらどれだけ良かったか。


本当にあったらいいな、なんてボケっとしながら送信ボタンを押してしまった。


「わかりました、私と結婚してください。」


「…………!はい!もちろんですっ!病める時も、健やかなる時も、


富める時も、貧しき時も、


妻として愛し、敬い、慈しむ事を誓いますっ!


……じゃあ、君のとこに行くね。」


取り返しのつかないことをしてしまった。「君のところに行く」とはなんだ?何かがこちらに来ていることが本能レベルで理解できる。慌てて逃げ出そうとした頃には、もう意識を失っていた。


「……えへへっ♡これでずうっといっしょ、だね♡」

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