第19話

 きっと私は女優を辞める選択すらできない。

 弱い女。




 *

 



 「ありがとう、侑ちゃん。今日は美味しいものをいっぱい食べていいからね。」




 待ち合わせたビルの地下駐車場で、是枝は周りに人がいないのを確認し、上機嫌で私を車の中に押し込んだ。




 今日はあのドラマの撮影が行われていた。




 撮影に用がない私は、番組スタッフや綿貫昴生に会わない事を願いながら、隠れるように待機していた。

 是枝が約束の時間に現れるまで。




 この男と食事して、最後は体を売るのだ。




 そう思うと今から気が滅入る。

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