第17話

 鳥飼さんに送って貰い、誰も待っていないマンションに戻った。

 水色にライトアップされた水槽の中で、元気に泳ぐ熱帯魚だけが私を出迎えてくれる。



 いよいよ完全に仕事がなくなる。

 そしたら収入がゼロに。

 それなりに家賃が高いこのマンションも、すぐに引っ越さなければならないだろう。



 軽く夜飯を食べ、お風呂を済ませ、後は暗くした部屋のベッドの中でスマホを見つめた。




 ———今も思い出すのは、別れたばかりの一般人だった元彼。

 情けない事に私は、今だに未練を引きずっている。



 つい見てしまうのは、まだ消しきれない彼の電話番号とLINEとSNS。



 中学が一緒だった同級生のひじりとは、まだ人気が低迷する前に偶然再会し、それから付き合うようになった。





 『侑は人気女優だから、すぐに他の芸能人に取られるんじゃないかって凄く不安だよ。』




 『大丈夫だよ。

 私は浮気なんか絶対しない。信じて。』




 そう言っていた彼も、私の人気の低迷と共に心が離れていった。




 『今…侑仕事ないんでしょ?

 俺、お前を養えるほど稼ぎないから』




 聖。誰もあなたに食べさせて欲しいなんて思ってないよ。

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