Dearestーディアレストー

@amenokazuki

プロローグ

仄暗く開かれた空間。


外界からの光は届かず静寂が続く世界に存在するのは、美しい薔薇と異彩を放つ男。



薔薇の名はインベルシア。


雨のように透明で、触れてしまうのは禁忌と思わせる程の儚さがあり、花弁から光を纏う粒子が空間を照らし幻想的な光景を生み出していた。


その薔薇に囲まれながら腰を下ろしていた男は静かに眠っている。


雲のように柔らかな白い髪に黒と灰の色を基調とする洗練された装いで腰には鞘に納められた剣を携えてる。


ふと、瞼が開く。


瞳の色は空を彷彿とさせる水色で透明感があるが、薔薇に視線を送る瞳の奥底には輝きは無い。



過去に何があり何を想い孤独の世界に居たのかは彼の記憶のみぞ知る。


そして、この場を離れる意思が働き外の世界へ続く道を歩み出した。


過去の終わり、そして今に始まる。

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