ユリの冒険
福田英人
第1話 壁
ユリは人の魂として、生まれた。性別は明示しないでおく。優しく、臆病な人の魂だ。ユリの親は、神オルの娘のエリと獣ロアの息子のテューであった。エリはオルの理想であり、テューはロアの情熱だった。エリはテューと恋に落ち、生命の樹に触れて、ユリを生んだ。
この事実にオルは衝撃を受け、深く傷付き、絶望した。オルは、娘を高い壁の内側にユリと共に閉じ込めた。とても高い壁だ。それはオルのエリに対する愛の高さだった。
ユリは、その高い壁を見て、生きてきた。ずっと思っていた。壁の外側には何があるんだろう? どんな事が起こるんだろう?と。
壁の内側は平和で退屈だ。ユリは日常に飽きていた。飽食と協調も約束されていた。宥和が、そこにはあった。だが、ユリの好奇心は、それでは満足が出来なかった。壁の外側に出る。それがユリの希望となって行った。
だが、立ち塞がる高い壁。それがユリの希望を尽く打ち砕いていった。ユリは、強い失意と深い悲しみに暮れるのだった。高い壁の麓で。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます