サンタのスペシャルな翻訳機
@smiling
サンタのスペシャルな翻訳機
北極の静かな夜、雪がしんしんと降り積もるサンタクロースの工房では、小人たちがクリスマスの準備で大忙しでした。プレゼントの包装紙のカサカサという音、そりを磨くキュキュッという音が響く中、サンタは一枚の手紙をじっと見つめていました。
「ふむ、これも素敵なお願いだなぁ。でも、この手紙の言葉はどこの国のものだろう?」
手紙には、くるくるとした見慣れない文字が並んでいました。どこの国の言葉かもわからず、内容を理解することはできません。しかし、サンタにはそんなときのための秘密兵器があります。
「さあ、出番だよ、スペシャル翻訳機!」
サンタは机の引き出しから小さな機械を取り出しました。金色の縁取りがついた、その翻訳機は何世紀も前からサンタのもとに伝わる魔法の道具。世界中のどんな言語でも、瞬時にサンタの母国語に変換してくれるのです。
手紙の翻訳
サンタは翻訳機に手紙をそっと通しました。機械が優しい光を放つと、文字が浮かび上がり、流れるように翻訳されていきます。
「親愛なるサンタさん、私はガーナから手紙を書いています。今年のクリスマスには、おもちゃよりも新しいノートと鉛筆が欲しいです。学校で勉強を頑張りたいので、どうかお願いします。」
サンタは微笑みました。「なるほど、勉強を頑張りたい子か。それなら、ぴったりのノートと鉛筆を用意しよう。」
次に届いたのは、アラスカの小さな村からの手紙でした。翻訳機を使うとこんなメッセージが現れました。
「サンタさんへ。僕の家族はみんなで犬ぞりをしています。今年は家族全員が暖かい手袋をもらえたら嬉しいです。」
サンタは「ふむふむ」とうなずき、暖かいウールの手袋を工房のリストに追加しました。
多様性を超えた魔法の道具
その夜、サンタは特別な手紙をさらにたくさん読みました。中国語、アラビア語、スワヒリ語、手話のイラスト付きの手紙まで、翻訳機は次々と内容をサンタに教えてくれます。それぞれの文化や願い事に触れるたびに、サンタの心は温かく満たされていきました。
「どの国に生まれても、どんな言葉を話していても、みんなが大切な願いを持っているんだね。」
サンタはそう言うと、小人たちに向かって叫びました。
「みんな、大切な仕事だ!このプレゼントには、それぞれの国の伝統や文化を感じられるように特別な工夫をしておくれ!」
例えば、インドの子どもには手作りの色鮮やかな紙を添え、日本の子どもには丁寧な折り紙の飾りをつけました。サンタの工房は多文化のお祭りのように賑わい、笑顔と幸せが満ちていきました。
クリスマスの奇跡
クリスマスイブの夜、サンタはそりに乗り込みました。翻訳機をポケットに忍ばせながら、彼は思いました。
「これで、どんな国の子どもたちの願いも叶えることができる。」
サンタのそりは星空を駆け、世界中に笑顔を届けます。そして翻訳機は、言葉の壁を越えたサンタの大冒険をそっと支え続けていました。
このクリスマス、サンタはまた一つ、特別な使命を果たしたのです。どんな国の子どもたちにも、同じように愛と幸せを届けるために。
サンタのスペシャルな翻訳機 @smiling
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