繋がっている事
イザベラの遠隔スキルを活用したチャクラムの投擲に戸惑うジョーンを一度後退させ作戦の立て直しを図ろうとする俺達だったが、ついにケイトも動き出す。
「イザベラ、続けてあの大男を封じておいてね、私はあのリッキーを相手するわ」
「お言葉ですがケイト、各個撃破のほうがこの模擬戦勝ちやすいかと」
「あの男が囮を買って出て来たんだし、その隙を突かれる恐れはあるわ、ここは多少の危険を冒してでも勝負に出ないと」
「ですが、お……」
あいつら、どうやらそれぞれの役割分担をするようだな。
「心配してくれてありがとう、でも別に命のやり取りをしているわけじゃないし、それに力では劣っても彼は私を捉えられない!でしょう」
「ふふふ、そうでしたね、ではお任せしますケイト」
「イザベラも、遠隔スキルは便利だけど油断はしないでね」
「はい!」
ケイト、俺の方に来るか、そういえば彼女は魔法禁止をこの模擬戦に提案してきたんだよな。本来は魔法が得意はずなのに、わざわざそれを封印したのはそれでも戦える自信があるという事なのか?
何というか、あのイザベラはどことなく戦い慣れしている雰囲気があるが、ここまでケイトを見てもとても戦い慣れしているようには思えないな、慎重策を講じていたが俺の一撃でおとなしくしてもらおう。
「はあ!」
かわされた!くそ、少し素直に行き過ぎたか、これならどうだ。
「てやああ!」
またか、くそ!動きは素早いな。
「どうしたのかしら、やっぱり冒険者を辞めて腕が落ちたのかしら?」
「何?」
「もしくはシーナちゃんやあの男の修行優先で自分はあんまり鍛えていないの」
「ふっ、君こそ踊り子にしては剣の動きが良く見えているな、魔物退治の方を本業にした方がいいんじゃないのか?」
彼女の煽りを受けて、俺も煽りになっているか分からないが、とりあえず返答をすると彼女から更に返答があった。
「魔物退治や野菜売り、剣術道場、いろいろしているあなたには分からないでしょうけど、私達にとっては慰問と魔物退治は同じ事なのよ」
「どういう事だ?」
「今のあなたも冒険者のあなたも魔物という脅威を排除すればそれでいいと思っているでしょうけど、私達は被害にあった人の心も救わなくちゃあと思っているのよ」
「それはご立派な考えだ、だが色々しているように見えるだろうが、これらだって俺にとっては繋がっている事なんだ」
そう、俺にとっては今している事全てが確かにつながっている、ただクエストをこなしていた冒険者時代とは違うんだ。
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