重なった依頼

 村まで慰問に来ていたケイトという踊り子とイライザという演奏者はなんと現在近隣にいる魔物を退治すると村人に言い放ち、別件で依頼を受けていた俺達は彼女達の話を聞き、俺達の事情を話す為に声をかけるとどうやらケイトという子は俺の事を知ってそうであった。


「やっぱり、あなた、元勇者パーティーのリッキーっていう冒険者じゃない、どうしてここにいるの?それにその人達、あら!」


 この子、俺が元勇者パーティーの冒険者であることを知っていたのか、何かに気付いたと思ったら、なんとシーナに近づいてきたのだ。


「え!え、ええ!エルフ、あなたエルフなの、やだ可愛い!」

「か、可愛い……」

「ね、ねえ!あなた踊りか楽器演奏できる?もし良かったらさ、私達と……」

「お……、ケイト、今はその場合ではありませんよ、早く村長さんの所に行かないと」


 なんだこの女?いきなりシーナをスカウトしようとしたな、もう1人のイライザって子にたしなめられて気を取り直したようだが。


「そうね、じゃあ魔物を退治したらまたゆっくりとお話しさせて」

「は、はあ……」

「そうだ、俺達はその魔物退治の事で君達に話があるんだ」

「魔物退治の話?どういうことなの?」


 とりあえず話には食いついてきたか、それじゃあまずは俺達の事情を話すか。


「俺達は今は出稼ぎで街に出ているが、この村の出身者に魔物退治を依頼されて来たんだ、君達はどうも慰問の依頼とは別で自分達から希望したようだな」

「ええ、そうよ私達は旅の踊り子と演奏者であちこちを周って人を元気つけつつ、こういう魔物や悪人とかを退治しているの」

「そうすると今回の件が初ではないんだな」

「そうよ、でもちょっと待って、勇者パーティーを辞めさせられたとは聞いたんだけど、もしかしてあなた個人依頼でここに来てるって事は冒険者も辞めたの?」


 このケイトには隠し事はできなさそうだな、仕方ない、その部分は話しておくか。


「ああ、今はパルプ村で野菜売りと今回のような魔物討伐の依頼を受けている、そして……」

「私達の為に剣術道場を開いて、剣を教えてくれているんです!」

「ええ、そんな可愛いのに剣まで習っているなんて、うーーん、カッコいいじゃない!エルフちゃん、あ、ごめんお名前は?」

「わ、私はシーナと言います」

「シーナちゃん、すごいよ!頑張ってね!」

「は、はい……」

「こほん!ケイト、慰問の依頼は私達が魔物を退治する事も見越していたと思います、そしてこの人達は別件で依頼を受けていますし……」

「仕方ないわね、とりあえず村長さんの所にあなた達も一緒に来て、それでどうするかを決めましょう」


まあ、村長さんも交えて話すのが一番穏当か。

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