閑話 凋落していくマルス
リッキーを追放した勇者スキルを所持するマルスはある日、所属するギルドのギルド長にギルド長室まで呼ばれていた。
「お呼びでしょうかギルド長?」
「うむ、まあ座りなさい」
ギルド長に促されて、椅子に座るとギルド長はマルスに対してある事実を突きつける。
「マルスよ、最近の君の活躍の乏しさが国王陛下にも伝わり、当ギルドへの支援金を打ち切るかという議論になっているのだ」
「え?ま、待ってください、確かに以前より、その達成率は落ちたかもしれませんが、まだこなしているクエストも相当数あるはずです!」
「そのクエストは他の冒険者でも十分にこなせるものであるはずだ。我々は勇者スキルを保持する君だからこそ達成できるクエストの達成を期待しているのだ」
最近のマルスは他のパーティーメンバーと力を合わせても高難度のクエストを達成する確率が落ちており、その事がマルスの名で国から支援を受けている所属ギルドへの支援金が打ち切られるのではないかという話になっているのだ。
「それだけではない、マルス現在の君達のパーティーはS級ランクだが、このまま今のような状況が続くようならばAランクへの降格も視野に入れなければならない」
「待ってください、俺達をAランクに落とすんですか?」
「うむ、とてもではないがS級ランクとして考えると活躍が乏しいからね、すぐではないが君も覚悟しておいた方がいい」
「……それならば近いうちに大きな成果をあげてみせます!成果さえ上げれば国王陛下もギルド長もお考えを改めになるでしょう!」
マルスは強く言い放つが、マルスの言葉がどこか空回っていると感じたギルド長はほとんど生返事に近い返答をした。
「……期待しているよ……」
「お話はそれで終わりですか?それならば失礼しました」
マルスはギルド長の話が終わるとギルド長室を退室し、すぐにパーティーメンバーの元に舞い戻る。
「あ、お帰りマルス、ねえギルド長何て言ってたの?」
「……すぐにクエストに挑むぞ、それも高難度のな」
「ちょっと、私の質問に答えていないわよ、ギルド長から何を言われたの?」
「今のままだとAランクに落とすだとよ、だから高難度のクエストをこなしてそれが間違いだったとギルド長に突き付けてやらねえと!」
マルスの口からAランクに降格させられるおそれがあると知らされ、メイとサラは驚きの表情を隠せずにいて、マルスはこの時気付いてはいなかったが密かにユリが冷たい目でマルスを見ていたのだ、これは何を意味するのか?
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