パルプ道場の方針
俺とシーナの立ち合い稽古の感想をジョーンに問いてみたら、ジョーンはシーナの無駄な動きを指摘し、それに対しシーナが抗議をすると木剣を振わせろと訴え、俺はジョーンに稽古に加わってみないかと提案する。
「何だって?お、俺が明日から稽古に加わってもいいのか⁉」
「ああ、ジョーンの討伐の働き、俺達の道場作りの時間を短縮してくれた事、そして稽古をしっかりと見学しているのが分かったし、ジョーンはその剣を教えるに足ると判断した」
「よ、よっしゃあああ!いや!頑張った甲斐があったぜ!」
「良かったですね、ジョーンさん、あ、でも私の方がこの場合先に弟子入りしているから姉弟子と言って私の方がジョーンさんよりえらいんですよね」
あ、シーナの奴、ちょっと調子に乗っているな、確かにそうだがあまり増長しないようにここは釘を刺しておかないと。
「シーナ、確かにシーナの方が俺から剣の稽古を受けているが、実戦経験はジョーンのほうが豊富だし、あまりえらぶりすぎるなよ」
「えーーーー!ま、まあ師匠がそう言うならそうします」
「それからジョーン、シーナはエルフなだけに森での動きにも慣れているし、シーナからも学ぶ事は多いと思うぞ」
「おお、あまりそうは見えないけどな」
ジョーンの発言を聞いて、シーナはまたしてもジョーンに対し抗議をする。
「あ、もうジョーンさんはまだ私のすごさが分かってないんですよ!今度は森で仕事があったら私の弓の腕も見せますよ」
「あ、そういえばお前は弓と魔法が使えたんだったな、俺も槍が得意が、そんな俺達が一緒に剣を学ぶのか」
「まあ俺は2人にはしっかりと剣を教えていくつもりだが、2人もお互いからいろいろ学んでくれ、それから先に言っておくが……」
少し言葉を溜めてから俺はこの先の道場の方針について話した。
「2人も弟子が入ったし、この先のパルプ道場の方針と理念について話す」
この村の名前を使った道場名にしていいと村長から許可はもらっているから道場名はパルプ道場とした。
「まず、この道場には卒業という概念はない!」
「え?」
「どういうこったよ?」
「シーナもジョーンも剣を習いたい目的があっただろう、それを達成できそうな見込みがあるまでは可能な限り剣技を教えていくという事だ」
「おお、なんか随分気前がいいな」
「それから、余程悪い事したらさすがに破門だが、剣を学ぶ姿勢を見せてくれる限り俺から弟子を追い出す事はない!」
「師匠優しいですね」
「それから剣の教え方は俺流になってしまうが、弟子に思想とかを押し付けるつもりもない、みんなが思う剣の道を究めてくれ。以上!」
ふう、我ながららしくない事をしてしまった。まあ2人には剣を楽しく学んで欲しいからな。
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