建設と設計

 決闘で負かせたジョーンにも剣の修行を受けさせてもらってはどうかとシーナから提案された俺は更なる条件を追加し、魔物狩りで一定の成果を出したら剣の修行を受けさせるとジョーンに言い、ジョーンもそれを了承した。


「じゃあ、ジョーン、早速だけど道場作りを手伝ってくれ」

「分かった、やらせてもらうぜ」

「行きましょう、ジョーンさん」


 俺達3人はとりあえず道場の建設予定地に行くと、そこでジョーンは驚愕する。


「お、おい!もしかしてあんたらこれを2人だけでやるつもりだったのか?」

「そうだが」

「お金も人も集められそうになかったから私達でやるしかなかったんです」

「ん⁉ちょっと待て、これって土台か?」


 ジョーンは土台の存在に気付き、ある指摘をする。


「こんな土台じゃあ道場を作ってもすぐにぶっ壊れちまうぞ、ああ、あとなんだよこの石の並べ方は……ちょっと待ってろ」


 ジョーンはそう言うと1人で近くにある資材を活用して俺達が作った土台を作り直し、更にわずかだが建物の骨組みまでやってくれた。


 え?何コイツ?こんな事ができるの、すごいじゃん!


「はあ、はあ……今日はこんなもんかな、決闘で疲れているし」

「……」

「…………すごいです!ジョーンさん」

「そ、そうか、まあこれくらいはな」


 今日初めて嬉しそうな顔をしたなジョーンはようやく褒められたからか、それともシーナのような可愛い女の子に褒められたからか、まあシーナは見た目は若いが、エルフという事を考えると多分俺達より年上だろうけど。


「それにしてもまさかこれほどの土木技術があったなんてな、どこで覚えたんだ」

「傭兵は野営もするが時々、陣城っていって簡易的な家のような物も作るんだ」

「そうなのか、いやすごいな」

「なあ、あんた完成予想の図面があったら見せてくれるか」


 図面が見たいって、まあいいだろう。


「これが図面だ」

「……なあ、この図面と同じくらいの大きさの紙があったら持ってきてくれ」

「あ、じゃあ私持ってきます」


 シーナが紙をもってくると近くの台に紙を置いて図面を見ながらなにか書いているな。


「何を書いているんだ、設計図だよ、この設計図を見たけど、あんたらが理解してなさそうだったし、すこし分かりやすくしようと思ってな」

「そ、そうなのか、それは助かるよ」

「まあ、あんたらが設計を理解して俺が手伝えば多分この大きさの道場なら5日もあればできるぞ」

「5日⁉想像以上に早いな」


 ジョーン、傭兵じゃなくて人夫として働けばというのは言ってはだめだよな。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る