元傭兵との決闘
元傭兵の男がドラゴンを倒した俺に決闘で勝利し、その事を喧伝すると言い放ったため、俺は不戦敗を避ける為にこいつとの決闘を受諾する事とした。どういうわけかこいつは俺が元冒険者、それも勇者パーティーにいた事まで知っていた。俺の名前がまた知られれば村での平穏な暮らしはなくなるかもしれない。
「お前が俺の名を知っているというなら、お前の名前も教えてもらおうか」
「いいぜ、俺の名前はジョーンっていう」
「ではジョーン、決闘のルールや方法を決めるか」
「そうだな、お互いに得意武器でまずやろうか俺はこの長槍、あんたはその剣で」
真剣での決闘か、これに不安を感じたから俺は念の為ジョーンに尋ねる事とした。
「まさかお互いの命を奪い合うデスマッチを望んでいるのか?この平和な村で血生臭いことは避けたい」
「安心しろ、俺だってそこまでするつもりはねえよ、ただお互いの力が発揮できる方がいいだろう」
「それなら勝敗は互いの武器破壊、もしくは武器を落としてしまう、これでどうだ?」
「いいだろう、俺としてもこの村を血で汚すと寝覚めが悪いからな」
とりあえずこれで命の奪い合いはなくなりそうだな、次にジョーンが決闘を行われる範囲について説明を始めた。
「次に決闘の範囲だが、とりあえずこの辺りに線を引いてそこから出ても負けというのはどうだ?」
「分かったいいだろう、線の範囲は?」
俺が線の範囲を尋ねるとジョーンは槍で地面に線を引き始めた。
「ここからここまででどうだ、広すぎず、狭すぎずだが」
「そうだな、それじゃあ始めるか」
「待てよ、決闘には立会人が必要だろう、そうだな、おいそこのエルフのねえちゃん、あんたがこの決闘の立ち合いをしてくれるか?」
「え?私がですか?」
その場にいたからといってシーナを立会人に指名か、だけどこれに関しては確認しておかねば。
「待て、彼女は俺の剣の弟子で、微妙な判定になればお前が不利になるぞ」
「そうか、だけどどっちにしてもこの村であんたが住んでいる以上誰がしても大して変わんねえだろう」
不利を承知での立会人指名か、だけどさすがにシーナは俺と距離が近すぎるしな。
「それならわしがしよう」
「村長!」
「へえ、村長さんが直々とはな」
「わしはこの村の村長じゃしな、村でのトラブルを裁定するのもわしの役目じゃ」
「分かった、これ以上最適な人はいなさそうだしな」
「さあ、そろそろ始めようぜ、準備は整った」
ジョーン、いよいよこいつとの決闘だな。
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