締結!師弟関係

 エルフのシーナと協力してドラゴンを倒した俺はドラゴンの死体の処理を領主軍に任せてシーナと共に村へと戻って行った。


「報酬を受け取ったら先を考えると言っていたが、旅に目的とかはないのか?」

「目的ですか?元々エルフの里に住んでいたんですが、社会勉強の為に旅をしているっていう感じですね」

「そうか、まあそれまではゆっくり過ごすといいよ」

「あのこの近くってあんなに強い魔物って多いんですか?」


 ドラゴンのような強い魔物と戦ったのが初めてなのか、他にも強い魔物がいないか気になってシーナが俺に尋ねてくる。


「そうだな、あれほど強いのは珍しいけど、それなりにやばい奴はいるかな」

「そうですか、あの、私弓に魔力を込めて威力を高める事やちょっとした効果を付与する事はできるんですが攻撃力の高い魔法は使えないんです」

「ああ、そうすると旅を続けるならそういう人が一緒の方がいいかな」

「いえ、そうではなくて私にも剣の修行をつけていただくわけには参りませんか?」


 シーナはどういうわけか剣の修行をつけて欲しいと俺に懇願してきて、俺は戸惑いながらもシーナに理由を聞いてみた。


「どうしてだ?君自身が剣技を身に付けたいという理由を教えてくれ」

「あの、私の弓は威力を高められるといってもたかがしれているので、前々からいざと言時に接近戦の方法は身に付けていた方がいいかなとは思っていたんですが」

「つまり護身として剣術を身に付けたいと?」

「はい、そうです」


 護身術なら他にも方法はありそうだが、彼女は相当剣術に魅入られているな、絶賛する声が小声ながらも聞こえて来たし、まあ金を受け取ったら、はいさようならも薄情すぎるし、少なからず彼女の協力もドラゴン退治に一役買ったしな。


「分かった、報酬を受け取っても君さえよければ納得いくまで俺の修行を受けてみるといい」

「え?いいんですかありがとうございます!」

「まあ、これもさっきの手伝いのお礼代わりだからな」

「あ、あの、私にもさっきのドラゴンを倒した奥義を教えてくれますか?」


 興奮して目つきが変わった!俺の奥義をカッコいいと思って習得したいのかシーナは。


「ま、まあそれは君に習得の見込みがあれば教えるが、それまでは基礎的な修行が主になるぞ」

「はい!私、一生懸命頑張ります!」


 さっきまでしおらしい態度だったが、急に熱血姿勢を見せてきた。シーナってそっちが素なのか?


「それじゃあ頑張ってくれよシーナ」

「よろしくお願いしますリッキー様!いえ、師匠!」

「し、師匠⁉」

「人間社会では教える立場の方を師匠と呼ぶと聞いたのですが」


 そういう話は聞いているのか、まあそんなこんなでシーナと師弟関係を結ぶことになったのだ。

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