第3話 学習障害とは何か - 特徴と種類

学習障害(Learning Disabilities、以下LD)は、「知的障害とは違う」と説明されることが多いものの、実際にどのような特性があるのかを正確に知っている人は少ないかもしれません。特に「学校の成績が悪い」「授業についていけない」という表面的な部分だけで判断されることが多いため、誤解が生じやすい障害の一つです。


今回のエッセイでは、学習障害の基本的な定義や具体的な種類、そしてその特徴について解説していきます。


学習障害の基本的な定義


学習障害は、脳の特定の情報処理機能に影響があり、以下のような領域で著しい困難を伴う障害を指します:

1. 読字(文字を読むこと)

例: 読み間違いが多い、読む速度が遅い、文章の意味が理解しにくい。

(ディスレクシアとして知られる)

2. 書字(文字を書くこと)

例: 書くときに字形が崩れる、書き順がバラバラになる、考えたことを文字にするのが苦手。

3. 算数(数の概念や計算)

例: 数字の順序を間違える、計算の途中で何をしているか忘れる。

(ディスカリキュリアとして知られる)


これらの困難は、知的能力の低下が原因ではなく、特定の情報処理や認知の特性によるものです。そのため、学習障害を持つ人々の多くは、平均的または平均以上のIQを持っています。


学習障害の具体的な種類


学習障害は広い範囲にわたるため、以下のような種類に分けられます:

1. ディスレクシア(読字障害)

読むことが苦手なタイプ。

例: 「犬」と「伏」を区別できない、長い文章を読んで理解するのが非常に困難。

2. ディスグラフィア(書字障害)

書くことに困難を感じるタイプ。

例: 手書きで文字を書くのに時間がかかりすぎる、誤字が頻発する。

3. ディスカリキュリア(算数障害)

数学的な処理が苦手なタイプ。

例: 簡単な計算を暗記できない、数量や順序が理解しづらい。

4. 非言語性学習障害(NLD: Nonverbal Learning Disability)

視覚的な情報を理解するのが苦手なタイプ。

例: 図や地図を読み取るのが難しい、空間把握が苦手。


学習障害の困難が現れる場面


学習障害は特定の学習分野に限られるため、他の分野では優れた能力を発揮する場合も多くあります。しかし、以下のような場面では困難が目立ちやすいです:

• 学校の授業: 読み書きや計算が中心となる学習では困難が顕著になります。

• テスト: 短時間で正確な答えを求められる試験では不利になることがあります。

• 仕事場: 書類作成やデータ入力など、特定のスキルが必要な仕事で苦労する場合があります。


これらの場面では「やる気がない」「怠けている」と見られがちですが、実際には本人の努力では解決できない特性が原因となっています。


学習障害を支えるためにできること


学習障害に対する適切な支援は、苦手な部分を補完しつつ、得意な部分を活かすことです。以下のような支援策が効果的とされています:

• 学習環境の調整: 苦手な部分を補うためのツール(音声教材やICT機器)を利用する。

• 個別指導: 特定の困難に焦点を当てた指導を行う。

• 得意分野の伸長: 本人の得意なスキル(アート、音楽、スポーツなど)を伸ばすことで自己肯定感を高める。


知的障害との違い


学習障害は、特定の学習活動に困難を感じるものであり、日常生活や社会的な適応能力にはほとんど影響がありません。一方、知的障害は知的能力や適応能力全般に影響を及ぼします。この違いを理解することで、より的確な支援や対応が可能になります。


次回は、「知的障害と学習障害の違い」を具体的に比較し、それぞれの特性をさらに掘り下げていきます。ぜひお楽しみに!

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