ヒグラシの鳴く頃に

ひなの。

第1話



「ね……もうすっかりおじさんになっちゃったね」



 おいおい同級生。


 俺がおっさんならお前は、って言わせたいのかよ。



「……ごめんね……好きな人が出来たの」



 何で謝るんだよ。

 こっちからすると、やっと言ってくれたのかって話なのに。



「……その人ね……実はあなたも知ってる人なんだ……」



 知ってるアイツだろ。



 かつて俺の親友だったヤツ。



 ―――私、ヒグラシの鳴き声、大好きなの。何でだと思う?


 ―――知らねえよ。俺はこの鳴き声好きじゃねえし



 ああ、今日はヒグラシの声が良く聞こえる―――……

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